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#ネタバレ 映画「日の名残り」

「日の名残り」
日の名残り - 映画情報・レビュー・評価・あらすじ・動画配信 | Filmarks映画
1993年作品
秘めたる想い
2017/10/8 12:28 by さくらんぼ

( 引用している他の作品も含め、私のレビューはすべて「ネタバレ」のつもりでお読みください。 )

以前TVで観ました。ながら観でしたし、もう記憶もあいまいで、細かい話はできませんが、とても格調高い作品でした。とりあえず思いついたことを書いておきます。

この話は、

①主人公・執事スティーブンス → カズオ・イシグロさん。

②前のご主人・ダーリントン卿 → 日本

③主人公に秘めたる想いを寄せる女中頭 → 日本

④今のご主人・ファラディ様 → 英国

の構図なのでしょう。

さらに詳しく言えば、

①前のご主人が忘れられない主人公は、きっとご自分の事。

②は名家でしたが、終戦後、悪く言われるようになり失墜したのです。それは日本と同じ。

③も日本なのは、とかく「母国」「聖母」「空母」などと言われるように、生まれ故郷など語るときは、女性も登場させる必要があったからでしょう。だから②父性と③母性で一対なのです。

④前のご主人が忘れられなくとも、今のご主人に誠心誠意お仕えする決心をしたからです。

そしてタイトル「日の名残り」の原題は「THE REMAINS OF THE DAY」なのですが、日本人の感覚で見なおすと、「日本の名残り」とも読めるのが、胸にしみるところです。

ちなみにストイックな執事スティーブンスの生きざまは、どこか宮本武蔵のようでもあります。騎士道精神にもあるのかもしれませんが。

★★★★

追記 ( ゴーギャン ) 
2017/10/8 14:33 by さくらんぼ

カズオ・イシグロさんがノーベル賞を受賞した理由の一つは、

転職、移住、移民、難民などの時代には、

ゴーギャンみたいな、「我々はどこから来たのか、我々は何者か、我々はどこへ行くのか 」という問いに、注目が集まるからなのかもしれません。

追記Ⅱ ( その一瞬を慎重に決め ) 
2017/12/12 17:19 by さくらんぼ

追記Ⅱにつきましては、映画「愛人/ラマン」の追記に書きました。お手数で申し訳ありませんが、お読み頂ければ幸いです。

追記Ⅲ ( 残心 ) 
2017/12/24 15:54 by さくらんぼ

宇宙飛行士の金井宣茂さんが居合道の「残心」について語られました。それによると、「相手を倒した後も、他に敵がいないか油断しないようにするという考え方」だそうです。いわば未来に対する警戒、授業で言えば予習のようなものですね。

私は(「弓道」の影響を受けている日本の)アーチェリーの経験から、「残心」とは、「今射った矢の反省」であり、授業で言えば復習のようなものだと思っていました。

ですから、金井さんからは良いことを教えていただいたと思っています。

でも、復習の気持ちが0で良いのかと言えば、私は今でも、そこまでは、割り切れないのです。

もしかしたら …

実戦ではまだ敵がいるかもしれませんから、予習に全力を注ぐことになり、練習(スポーツ)では敵はいませんので、復習に全力を注ぐことになる。そこが、この問題に、折り合いを付ける場所なのかもしれません。

以下参考

  • 「 宇宙飛行士の金井宣茂さん(41)が17日、カザフスタンのバイコヌール宇宙基地から国際宇宙ステーション(ISS)に向け出発する。金井さんは高校時代から合気道や弓道など、さまざまな武道に親しみ、中でも海上自衛隊時代に始めた居合道は、宇宙飛行士になってからも稽古を継続。『武道にある日本人としての考え方や生き方が、ISSのようにさまざまな国の人たちが一緒に働く中で、ユニークな価値を与えるのではないか』と話す。…

… 教えを受けた中で、金井さんが宇宙飛行士の仕事で生かしているのが『残心』。相手を倒した後も、他に敵がいないか油断しないようにするという考え方だ。

金井さんは『宇宙はいつ不測の事態が起きるか分からない。複雑な実験を終えて安心した後、サンプルをしまい忘れ失敗したケースもある』と指摘。『残心の心で油断なく細かな仕事をすることで、他の飛行士にも良い影響を与えられる』と強調する。… 」

( 2017/12/14-05:07 時事ドットコムニュース 「武道の精神、宇宙で生かす=『残心』の教え、実験にも-金井さん、17日出発」 より抜粋 )

  • 「 射法八節

全日本弓道連盟では、射の基本動作を8つの節に分けて説明・指導をしている。これを射法八節(弓道八節)といい、戦後に日本弓道連盟(全弓連の前身)の射法制定委員により制定された。詳細な技術内容は、流派や個人の考え・体格・思想などにより異なる。以下は全弓連発行の「弓道教本」により説明されている射法八節の基本的内容である。

足踏み(あしぶみ)
射位(しゃい:弓を射る位置)で的に向かって両足を踏み開く基本動作。

胴造り(どうづくり)
足踏みを基礎として、両脚の上に上体を安静におく動作・構え。

弓構え(ゆがまえ)
矢を番えて弓を引く前に行う準備動作。

打起し(うちおこし)
弓を引き分ける前に、弓矢を持った両拳を上に持ち上げる動作。

引分け(ひきわけ)
打起こした位置から弓を押し弦を引いて、両拳を左右に開きながら引き下ろす動作。

会(かい)
会は形の上では引分けが完成され(弓を引き切り)、矢が的を狙っている状態をいうが、射手の心理からいえばむしろ無限の「引分け」である。

離れ(はなれ)
矢を放つ、あるいは放たれた時の動作の事。

残心(ざんしん)
矢が放たれた後の姿勢。「残身」とも書く。
「離れ」後、そのままの姿勢を数秒保ち、心身ともに一息置く。精神を意味して「残心」、身体で意味して「残身」と書く。」

( ウィキペディア「弓道」射法八節 より抜粋 )

追記Ⅳ ( 残心② )
2017/12/24 17:56 by さくらんぼ

今、「残心」が最も美しく、そして良く分かるのが、カーリングですね。

「 平昌五輪に映えるカーリングの美女たち 」 ( 産経ニュース 2017.12.24 11:00更新 )

ところで、なにげにウィキペディアの「残心」を見てみたら、これが、分かりやすい上に、面白い。

剣道と弓道の「残心」は、やはり違うようですね。

それだけでなく、「残心」とは一言で語れないもののようです。



( 最後までお読みいただき、ありがとうございました。

更新されたときは「今週までのパレット」でお知らせします。)


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