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#ネタバレ 映画「愛人/ラマン」

「愛人/ラマン」
1992年作品
ショパンの一撃
2017/12/12 16:50 by さくらんぼ

( 引用している他の作品も含め、私のレビューはすべて「ネタバレ」のつもりでお読みください。 )

映画館で観たはずです。

少女が出てきて、淡々と進む、美しい映像の愛人劇でした。

その淡々に観る者が染まってしまったころ、感動は不意に訪れます。

港を出ていく船。

岸を眺める少女。

すると、どこからともなくショパンが。

この瞬間、私たちは少女といっしょに、なぜだか分からぬ涙を流すのです。

薄幸な少女の、鎧で固めた心がひび割れて…

私たちの心の底に、押し込めていたものも、同時に浮かび上がってきて…

それだけをレビューにして良いのだろうかと、そう思ってなかなか書けませんでしたが、きっと、それでも良いのでしょう。

★★★★★

追記 ( その一瞬を慎重に決め ) 
2017/12/12 17:13 by さくらんぼ

これは映画「日の名残り」の追記Ⅱです。

「 … 【日の名残り】を書き終えたものの、何かが欠けていると思っていた時。米国のミュージシャン、トム・ウェイツのバラード『ルビーズ・アームズ』を聞いた(この場で歌ってみることも考えたと笑わせた)。タフガイを貫いてきた男の心が悲しみで崩れる歌だ。

執事は感情に壁をつくり、自分自身を見ないし他人にも見せない人物にしようと無意識に決めていた。だがウェイツが独特のしわがれ声で『心が張り裂けそうだ』と歌う瞬間、『物語の終わりに近いどこかで、一瞬だけ(態度を)覆そう。その一瞬を慎重に決め、まとった鎧に一筋のひび割れを起こさせよう』と決め直した。… 」

( 2017.12.12朝日新聞(朝)文化・文芸 「すぐれた物語」気づいた夜 カズオ・イシグロさん ノーベル賞記念講演 映画が転機に/歌声からもらう「そう、これだ」より抜粋 )


( 最後までお読みいただき、ありがとうございました。

更新されたときは「今週までのパレット」でお知らせします。)


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