#ネタバレ 映画「ゴールデンスランバー」
「ゴールデンスランバー」
2009年作品
びっくりした方が負けである
2010/2/1 22:26 by さくらんぼ
( 引用している他の作品も含め、私のレビューはすべて「ネタバレ」のつもりでお読みください。 )
劇中の首相の氏を聞いて、その氏を作家(監督)が選択したことに?と思いました。
主人公が親指で、まるで指紋を記録するがごとくボタンを押すしぐさに?と思いました。
私の聞き違いでなければ、エンディング・テーマの歌詞は、少なくとも1~2箇所、ネットにでてくるオリジナルとは違い、?と思う歌詞に置き換えられていました。
つまり首相があのような事になった謎解きのキーは、ここにあるのではないでしょうか。合法的に首相になったのでしょうが、政府に中にもそれを良しとしない分子が居たのです。
主人公の無実が、主人公を良く知る友人や親にすぐに分かる理由も、単なる旧知の間柄だから、というだけでは無いのです。
たとえば、主人公の元彼女がシーマンを見て、唐突に別れを言い出しました。「このままじゃいけない。もっと向上心を持たなけりゃ」などと、分かったような、分からない事を言って。
彼女は、主人公を恋人として遊ぶのなら良い人だけれど、結婚相手としては問題ありと言っていたのです。彼は将来性が低いと、評価していたらしいのです。もっと玉の輿に乗りたいと言っていたのです。
なぜ評価が低いのか。その隠された理由が、首相の事件の原因とつながります。おなじ宿命を持つ首相に主人公が敵対行動に出るはずがないと知っているのです。
彼女自身が主人公に敵対行動をして捨てたので分かっているのです。でも、その時、主人公がきれいに別れてあげた為、その時の後ろめたさで主人公を助けたのでしょう。同様に、他の友人たちの多くも、決して美しい友情だけで動いていたのではない部分がありそうです。
顔を、過去を、名前を変え生きる。哀しいラストですが、それこそが映画の奥の方で言いたいことだったのでしょう。
今回は(今回も?)私に自信と勇気が無いため、これ以上は書けません。もし興味が御ありの方はミステリー小説を読むつもりで考えてみてください。そして、もし外れていたらごめんなさい。
ちなみに映画の表面の主題は「びっくりした方が負けである」としました。いくつか候補が挙がりましたが、映画のポスターに使われていた主人公がびっくりしている写真にて決定しました。冗談を言っているつもりはありません。
追記
2010/2/2 14:52 by さくらんぼ
総理の宿命=青柳の宿命 = 青柳に犯行動機が無い理由
総理が狙われた理由 = 青柳が選ばれた理由
総理が排除された理由 = 青柳が元彼女から捨てられた理由
警察が青柳を見逃した理由 = 元彼女が青柳を助けた理由
・・・。
ところで、ラスト近く、エレベーターで指紋を記録するがごとくボタンを押した青柳に、元彼女は、よく出来ましたのスタンプを押させます。子供を使い、よりによって青柳の手に押すのです。
ここのシーンは整形が良く出来ましたというのが素直な解釈でしょうが、裏では、指紋採取をされ屈辱的な思いを持っている男に対し、係員のおねえさんが「ハイ、よく出来ました!」と皮肉っている寒々としたシーンをイメージさせ、ブラック・ジョークにも観えてきます。スタンプを使った事にも、映画の本意はボタンではなく指紋であるとの、駄目押し的意思を感じました。
それにしても、かつて自分を捨てたものたちの、その後ろめたさにすがるしか、生きるすべが無い主人公は、なんと哀しいのでしょうか。でも、それは善人にしか出来ない究極の世渡り術だったのかも知れませんが・・・。
★★★★
追記Ⅱ ( 映画版の歌詞には )
2010/2/3 8:40 by さくらんぼ
エンディング・テーマの歌詞ですが、このレビューを書いてからネットサーフィンをしていましたら、どこかの映画レビューにて「ゴールデンスランバー」で「外国人参政権」を語っているのを見つけました。それを見て私は自分の解釈に少し自信を持てましたので、お話します。
映画版の歌詞には「ザイニチシャカイ」という言葉が1~2箇所あったのです。オリジナルには無いはずです。聞き違いでなければですが。どうやらこの映画の社会面は「在日の悲劇」なのでしょう。総理も主人公も在日だったのですね。
追記Ⅲ ( ささやかな幸せ )
2010/2/9 9:56 by さくらんぼ
主人公のラストは哀しいのですが、青柳が整形後、テーブルに独り座っているシーンがあります。テーブルの上には、たこ焼きと中ジョッキのビールがありました。ほっと一息ついた青柳の心情が、たこ焼きとビールで表現されていたようです。
「車のエンジンが、かかるだけで幸せなんて…」みたいなセリフがありましたが、彼は「逃亡せずにビールでくつろげる幸せ…」に浸っていたのでしょう。確かに哀しいのですが、どこにも、ささやかな幸せはあるのですね。
( 最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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