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#ネタバレ 映画「県庁おもてなし課」

「県庁おもてなし課」
さくらんぼ 2013-05-20 06:46
屈折はブレーキである

( 引用している他の作品も含め、私のレビューはすべて「ネタバレ」のつもりでお読みください。)

寅さんは、さくらに、ひそかな恋心を抱いていた!?と、そんな昔話しも思い出しましたが、それは、さておき、映画「県庁おもてなし課」の佐和と吉門は本当の恋仲でしたね。だから、兄弟愛と異性愛に揺れて、彼らは屈折しまくっていました。

さらに二人は、県庁を父の仇の様に思っていたため、そこにも屈折した感情を持っていました。

一方、県庁の掛水は、TVで高知県民コンプレックスを吐露しましたし、高知県知事は、その昔、県職員だった時代にパンダ計画の関係者であり、失敗したので、同じ県職員でパンダ計画発案者だった清遠に、いまさら合わせる顔がないという、屈折心を持っていました。

この映画は、スッキリと悟りを開いたごとく明るいのは当の清遠ぐらいで、あとは、みんな大なり小なり、そんな澱(おり)のある人間として描かれていました。

そして、映画のラストでは、高知県知事は掛水の高知県民コンプレックスをTVで聴き、自らの清遠へのコンプレックスを、あらためて自覚したのです。あれで、知事さんは反省し、今回の計画にゴー・サインを出す事でしょう。
変なコンプレックスを持っていると、仕事に恋愛に、いろいろと足も遅くなるのです。掛水が自転車でバイトの女の子に追いつかなかったのは、それを表現していたのでしょう。

この映画は、表面的にはお役所仕事の公務員を民間人が小ばかにするスタイルをとっていましたが、主題は、公務員批判ではなく屈折心の話だったようです。

そんな風情の映画は過去にもあって、映画「県庁の星」でも、県庁の係長が民間派遣研修の場で、民間からコテンパンにやられる映画かと思いきや、意外と、そうではなかったのです。そのあたりに当てが外れて困惑した人もいたことでしょう。

ところで、映画「県庁おもてなし課」の最深部を流れているモチーフは何かというと、それは坂本龍馬の薩長同盟かもしれません。対立する公務員と民間を、清遠(龍馬)がくっつけるのですから。そう言えば清遠の豪放磊落なキャラクターは龍馬みたいでした。それに、元公務員の清遠は脱藩者の龍馬とも符合します。

主役の錦戸さんは、軽薄っぽく白い歯を見せず、むしろ凛としたサムライと演じていた方が(映画「ちょんまげぷりん」)、惚れ惚れしてダンゼン良かったです。また、掘北さんも基本的には好きな女優さんですが、この作品とは、ほの暗いキャラが合わなかったような気がしますので、少々残念でした。四国は私の憧れの地の一つですね。四国一周、二周、三周ぐらい、歩いてお遍路さんの旅がしたいぐらいです。

★★★



( 最後までお読みいただき、ありがとうございました。 

更新されたときは「今週までのパレット」でお知らせします。)


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