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#ネタバレ 映画「海街diary」

「海街diary」
2015年作品
人はハーモニーを作りたい生きもの
2015/7/24 6:22 by さくらんぼ

( 引用している他の作品も含め、私のレビューはすべて「ネタバレ」のつもりでお読みください。 )

四姉妹というと、数字から、なんとなくそれは弦楽四重奏をイメージします。

そうすると「人はハーモニーを作りたい生きもの」という主題が直感的に浮かびます。

場所は、鎌倉。

私が好きな「湘南ビーチFM」にも近い、文化と自然のあふれた街で(まだ行ったことはありませんが)、舞台としては最高です。

私の近くにも一見似たような海街があり(「知多半島」のこと)、冬は海鮮と温泉、夏は海水浴客でにぎわいますが、文化の香りよりも、まだ漁師町としての香りが強いので(今後に期待)、やはり湘南あたりは特別なところなのでしょう。

映画のラストは、海岸を四姉妹が、波と戯れながら、酔ったように、ゆらり、ゆらりと、歩いていくシーンです。

あれが、主題を映像化した一番美しいワンピースだと思います。

波は、生きていくうちに出会う、さまざまな、出来事の記号でしょう。

四姉妹は、悲鳴を上げながらも、波を上手にかわしながら、生きていくのです。決定的なトラブルになることを避けて。

これは、たぶん父が不倫したことで学んだ処世術。

俗に「世渡りが下手な人」がいます。私も若いころは、先輩から良くそう言われました。基本的に、それは今でも変わっていません。

リタイアした今、友人とは基本的には対等でなければならないと思っているので、上から目線が当然だと思っている元一流会社の幹部さんたちに部下扱いされ、軽くあしらわれたりすると、それを甘受できないのです。

それで、友達関係を解消しては哀しんでいる私です。

私も、もう少し大人になって、誰とも弦楽四重奏のように、バランスを失うことの無いように、生きていけたらと、つくづく思います。

そのためには、すずが、梅酒に酔っ払って脱線してしまったようなことも、ときには必要なのでしょう。

私は、若いころは、一滴もアルコールを飲まなかったので、やっぱり先輩にしてみれば、友好的態度が見えない後輩だったのです。

そんな私が、数年前に健康診断で、肝機能でイエローカード出るとは、当時の先輩は想像すらできなかったでしょう。私自身も、ごく平均的な飲酒をしていただけなので、びっくりしました。

それで、一年前から、アルコールの週休二日ではなく、週飲二日に改め、今年の健康診断では、めでたく評価A、をもらいました。それもこれも、ノンアルコール飲料さまのおかげです。

( ちなみに、肝機能の低下はアルコールに限らず、メンタル面の悩みでも起こると、西洋医学か、東洋医学か、どこかで読んだことがあります。ちょうど、その頃はとても悩んでいたことがありまして、アルコールとメンタルのダブルパンチかもと思いました。私は医師ではありませんので、この説を信用してもらっても困りますが。)

この映画は、大きな事件も起きず、トラブルもなく、淡々と進みますが、その淡々こそが、見習いたい生き方であり、映画の描きたかったことなのだと思いました。

余談ですが、私は四姉妹のうちで三女・千佳(夏帆さん)がお気に入りでした。なんとなく、心がどこにあるのか分からないような…。

追記 ( 思い立ったが吉日 ) 
2016/8/23 6:56 by さくらんぼ

三姉妹の元に、15年前家を出たきり一度も会っていなかった父の訃報が届きます。葬儀のため山形に向かった3人はそこで腹違いの末っ子・すず(広瀬すず さん)と初めて会うのです。

そして、いろいろあった葬式も終わり、別れの日、

電車に乗った三人と、ホームに一人残されたすず。

あと数秒でドアが閉まる、まさにその時です。「一緒に暮らそっ!」、そう長女・幸(綾瀬はるか さん)が声を上げます。

一瞬の沈黙・・・

すずは「ハイ!」と大きく決意の返事をしました。

その瞬間閉まるドア。

ゆっくりと動きだす電車。

すずは大きく手を振るのでした。

私はあの「両者決断の瞬間」が羨ましい。

あんなに大きな問題を、あんなに瞬間的に決められるなんて。でも、あれが正解なのだと思います。

「思い立ったが吉日」という言葉がありますが、最近私は、「あれは本当ではないか」と思うのです。

私はおじさんになるまで「思い立った事」と「行動日」を別々に考えていました。自分の子どものころを思い出し、「すぐやりたいのは子供の証拠」だとさえ。

しかし方丈記にも「ゆく河の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず」とあるように、「日々の運気・運勢」も違うのです。

だから「ふと、あの映画を観たくなったら」、「今日が映画館に出かけるべき日」かもしれません。

必要があるからこそ「ふと思った」のです。

行動すると「本日一日いろいろな事に出会いますが、それも私に与えられたもの」なのです。その中に「運命を変える宝物が潜んでいる」かもしれない。もし「明日にすると出会えるものが違ってしまいます」。

本能と直感で生きる動物は「明日にしよう」などとは思わないはず。

そんな彼らが一番賢いのかもしれません。

先日の新聞広告に「ニーチェ」の漫画本があって、サンプルにはその気持ちを後押しするような話も書いてありました。

と言いながらも、たいてい「ため息をついて、また今度」と思う私なのですが。

「 本当の世界は

想像よりも

はるかに小さい。」

( 「ニーチェ」 )


(  最後までお読みいただき、ありがとうございました。

更新されたときは「今週までのパレット」でお知らせします。)


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