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#ネタバレ 映画「雨の日は会えない、晴れた日は君を想う」

「雨の日は会えない、晴れた日は君を想う」
2015年作品
映画「ターミネイター」へのオマージュ か
2017/2/28 17:48 by さくらんぼ

( 引用している他の作品も含め、私のレビューはすべて「ネタバレ」のつもりでお読みください。 )

妻を亡くしても悲しくない夫の、再生の物語というと、邦画にも「永い言い訳」がありました。

しかし、こちらは少々カラーが違います。もっと陰鬱なドラマかと思ったら、けっこう軽く、明るく、ロックしているのです。

シナリオもよく推敲され品よく仕上がっています。そして面白ことには、これは映画「ターミネイター」シリーズへのオマージュのよう。特に2作目と3作目が見えてきます。

なぜか現在「映画生活」さんの「フォトギャラリー」には見当たりませんが、映画館の入り口に掲示してある大型ポスター、あの主人公がサングラスをかけた顔のアップは、「ターミネイターのシュワちゃん+T2の警官」と重なって仕方ありません。

★★★★

追記 ( 「ターミネーター」 ) 
2017/3/1 9:21 by さくらんぼ

映画名は「ターミネイター」ではなく「ターミネーター」でしたね。失礼しました。

私は良くこんな間違いをします。そして「ぼんやり風呂に入っている時」に思いだしたりします。つまり潜在意識では間違いに気づいているわけです。でもそれが顕在意識に浮かび上がってくるのに一晩(リラックスタイム)を要するわけです。経験でこれを知りました。

だから在職中は、「完成した仕事は一晩寝かせてから発表する」ようにしていました。すると夜中に間違った個所を思いだしたりして…それを朝一で会社に駆けつけて訂正できました。

ちなみに映画の解釈もそうです。「一晩(あるいは一週間)寝かせる」と、浮かび上がってくるものがあったりします。

追記Ⅱ ( あんなことや、こんなこと ) 
2017/3/1 13:41 by さくらんぼ

エリート銀行員のディヴィスがやってきた仕事は、受付嬢のような札束数えではありません。コンピューター上でのお金の移動や株の売買のようです。ある意味ネット社会(未来社会)の記号。でも彼はその仕事に空虚を感じていました。

そんな彼は、妻が死んだことで、喪というリアル(現代)に直面するのです。

かくしてディヴィス(ターミネーター)はリアル(現代)に送り込まれました。

彼は破壊神となり何でも分解します。「メカ」を分解するのは「ロボット」の記号でしょう。「家」を分解するのは「T3で家を壊す」アクションを思わせます。

ディヴィスが最後の仕事にした「回転木馬」は、「T2の核兵器で破壊されるシーン」にも有ったような気がします。

そして上司が大切にしていた「ゼンマイ式の大きな飾り時計」は「タイムスリップ」の記号。

冷蔵庫から漏れる「水の修理」は、「T2のリキッドメタルとのバトル」を意味します。

ディヴィスと恋仲になる「逃げ隠れていたシングルマザー」は、ターミネーターの「逃げるヒロイン」と重なりますね。

そして「シングルマザーの一人息子」も、「ターミネーターに出てくる少年」です。ともに中性的なカラー。

ディヴィスは「防弾チョッキを着て少年から射撃のターゲット」になります。この無理すぎる危険な設定は、「実弾を浴びても死なないターミネーター」だからか。

唐突に一瞬挿入される「トカゲみたいなCGアニメ」。良く分かりませんが、「トカゲのしっぽって、リキッドメタルみたいに切れても伸びてくる」のですね。

デイヴィスを「精神科」へ行かせようとした上司、「T2でも精神病院」が出てきました。

なぜか「猿が温泉に入ってるTV映像」も流れます。あれは「T2に出てきたターミネーター(人間モドキ)が溶鉱炉に入るシーン」のつもりなのでしょう。猿が毛づくろいをしているのは「言葉の代わり」(雑談らしい)ですが、ターミネーターでも人間に別れの挨拶をしていました。

そして主人公が不必要なほど長文の手紙を自販機会社に書くのは、T2に出てきたヒロインの日記(モノローグ)のつもりでしょう。

その他にもいろいろ有るかもしれません。

追記Ⅲ ( 「破壊」という「号泣」もある ) 
2017/3/1 14:06 by さくらんぼ

ロバート・デ・ニーロさんの映画「アナライズ・ミー」には、マフィアのボス(デ・ニーロさん)が幼いころのトラウマを消化できずに苦しみ、精神科医にすがる姿がコミカルに描かれています。

その中に、「中年になって、やっと、なりふりかまわず号泣できた」ことで、心が楽になるエピソードがありました。

映画「雨の日は会えない、晴れた日は君を想う」にも、自販機のチョコを買おうとしたけれど、故障で、お金を入れてもチョコが引っかかって出てこない」エピソードがあります。

この引っかかりこそ、「ディヴィスの心にもパイプ詰まりがあり、感情を上手く表現できない」という記号なのでしょう。それは仕事に「空虚」を感じていた世界観とも符合します。

あの時の、泣けないディヴィスにとっての「破壊」とは、「号泣」と同義語だったのです。

追記Ⅳ ( 「リアルに出現した大きな空虚」 ) 
2017/3/2 8:41 by さくらんぼ

>エリート銀行員のディヴィスがやってきた仕事は、受付嬢のような札束数えではありません。コンピューター上でのお金の移動や株の売買のようです。ある意味ネット社会(未来社会)の記号。でも彼はその仕事に空虚を感じていました。(追記Ⅱより)

でも、それは「ネットにある小さな空虚」でした。

これは、そんな彼が突然の事故で妻を失い、「リアルに出現した大きな空虚(喪失感)」に消化不良を起こした話。

この「空虚」こそが、変幻自在に形を変え、目をくらませて迫ってくる、リキッドメタルの「T2」、その本命の姿だったのかもしれません。

追記Ⅴ ( 「シングルマザーの一人息子」 ) 
2017/3/2 8:58 by さくらんぼ

>そして「シングルマザーの一人息子」も、「ターミネーターに出てくる少年」です。ともに中性的なカラー。(追記Ⅱより)

彼の外面は男性ですが、内面は女性かもしれません。自分の事を「ゲイかもしれない」と人知れず悩んでいた彼もまた、「自分の中に男性がいない空虚を感じていた」のでしょう。

思春期は、普通の「初恋」でさえ、「なに、この不思議な気持ちは?」と悩むものらしいですね。

それなのに「自分はLGBTQかもしれない」という気持ちは、消化不良を起こしてもしかたないほどの混乱なのでしょう。

ディヴィスと二人で、仲良く家を破壊する意味がそこにあります。二人は共にT2と戦っていたのです。

追記Ⅵ ( 饅頭の話 ) 
2017/3/2 9:17 by さくらんぼ

たぶん小学校・低学年頃の話。大口あけて饅頭にかぶりつき、「甘い!」と思った次の瞬間、私は刺すような激痛を感じました。

すぐ横にいた母は私の形相を見て、「虫歯か」と一言。

でも、私は答える代わりに、持っていた「食べかけのまんじゅうを握りつぶした」のです。

幸せの絶頂期から突然地獄へ突き落された理不尽に怒っていました。涙が滲み出てきましたが、泣きはしませんでした。


(  最後までお読みいただき、ありがとうございました。

更新されたときは「今週までのパレット」でお知らせします。)


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