
リバーシブル本【同人誌】
同人誌の覚え書きのような、あとがきのようなものです。
5冊目です。
ローとコラソンが大好きなので、今回は解釈の話が多いです。

概要

どちらからでも読めます
人生で7冊目に出した同人誌ですが、個人誌としては5冊目です。
ワンピースの、コラソンと幼い頃のローの同人誌です。
前からも後ろからも読めるリバーシブル本という形式の本です。原稿の最終確認、逆さまになって頭に血が昇って意識が朦朧とする中で原稿をチェックしていました。ノートパソコンなんだからパソコンごとひっくり返せば良かった。
作った経緯
初めはコラソン視点のみのギミック無しの同人誌を作る予定でした。
なぜならこの本を作ろうと思った理由が「推してる作家さんの本を確実に手に入れるためにイベントにサークル入場したい(サークル参加するためには本を出さなくてはならない)!」だったからです。最低限無線綴じ出来る14ページ程度の本を想定していました。

しかし、「コラソンがこの行動を起こしたとき、ローはどう思っただろうか」「ローは何を思ってこう言ったのだろうか」とローの行動も整理していくうちに、コラソン視点の世界とロー視点の世界にギャップがあることに気づきました。
このギャップが描けたらもっと面白くなりそうだと思い、視点を2つに分けることにしました。当初は「まあ7ページ+7ページの14ページ本にすれば大丈夫っしょ!」と思っていました。最終的に合計40ページになりました。ア~ア~ア~…。

話は戻って、コラソンとはスペイン語で「心・心臓・ハート」を意味します。大人になったローは、「ハートの海賊団」を結成しています。「ハートの入れ墨」を入れた体の上に「コラソン」と書かれた上着を羽織り、「おれが死ぬまでにやる事全てが コラさんの遺した功績だ!!!」と宣言します。すげえや、なんだこの男。

何が言いたいのかというと「ローはコラソンの意思を受け継いでいる」ということです。
昔はあんなに見えている世界にギャップがあったのに、今は(今も見ている世界は違うかも知れないけれど)意思を継いでる。その変化がとても素敵で良いなと思ったので、意思を受け継ぐ表現として「最終的に2つの結末が重なりあうお話」が作ってみたくなりました。
「2つの結末を重ね合わせるにはどうしたらいいか?」を考えた時に、「前後から読めるようにして、真ん中で物語を統合する」というのが一番しっくりきました。そんな訳で、前後から読めるリバーシブル本を制作することになりました。
仕様
構成
リバーシブル本にするにあたって、一番重要なのは2つの物語が繋がって画面が切り替わるド真ん中のページだと思います。
ここにリバーシブル本は読む向きが逆という特徴を活かして正反対の言葉を入れようと思いました。これによって2つの視点のテーマが「最高」と「最低」になりました。

そして、最低をひっくり返したら最高になる
最「高」の視点と最「低」の視点が最終的に同じ視点で重なり合う、良い構成に出来たと思います。
タイトル「さあ行こう 黎明の花が 咲いている」
「さあ行こう」を「最高」に、「咲いている」を「最低」に掛けています。「コラソンの終わりの物語/ローの始まりの物語」かつ、「どちらも明るさを見い出して終わっている」ので「黎明(夜明け)」という表現を使いました。ロゴがこちら。


このロゴ、異常にクオリティが高いですよね。そうです。私が作ったんじゃないです。
この本からロゴデザイン、表紙デザインをデザイナーのniruさん(Twitter:@siro___snow)にお願いしています。
デザインを人にお願いすると表紙で悩む分の労力を本文に割ける上に、自分で作る10000000億倍素敵なデザインが出来上がるので、依頼してとても良かったです。
「表紙と裏表紙でガラッと雰囲気を変えてください。」と言うフワフワ過ぎる指示に対し、niruさんが上げてくださったデザインがこちら

niruさんは、ヒアリング能力とアイディア力が素晴らしかったです。進捗報告をいただく度に求めていた以上のデザインが返ってきて、モチベーションも上がりました。


テーマをデザインに反映するのが上手すぎて戦慄しました
地獄の提案にノリノリで全部OK出してくださった青ざめさん、優しい https://t.co/1kaBNiTNEC
— niru (@siro___snow) December 25, 2023
内容
コラソンとローは「上手くいかなかったけど、上手く噛み合えた2人」だと思います。
その理由は色々あると思うのですが、私は主に「コラソンは『弟』で、ローは『兄』だったから」なのではないかと思いながら描いていました。

下の子供は誰かが何かしてくれるのに慣れてるイメージがあります
コラソンは弟です。下の子というのは、常に目の前に数年早く生まれた先輩がいます。先に行動を起こす人がいるとその結果をアテにしがちです。上の子がしっかりしていたらなおの事です。コラソンは自他ともに認める「ドジっ子」ですが、多分自分のキャパシティを正確に把握出来ていないからドジるんじゃないかと考えています。それ以外にも要因はあると思いますが。

対して、ローは兄です。1人で行動しがちなのも、前に人がおらず道を切り開くのが習性になってるからなんだろうなと思います。後ろにいる人の分のリスクも抱え込んで行動しがちです。その分あらゆる場合を想定して非観的に見がちなのかなと考えています。

26歳の弟と13歳の兄です。導き方を知らない大人と導かれなかった子供なので、上手くいかなかった。しかし、弟として兄として、人として、お互いに必要としていた要素を補い合えたからこそ上手く噛み合えたのだろうと思います。
お互いを傷つけて、傷つくほど真険に向き合えた2人が、このチグハグでぴったりな2人が、大好きです。
オマケ
今回のオマケは「分冊版」でした。リバーシブル本として出した2つの視点をそれぞれ別々の本にしました。

コラソン視点は白い紙に黒インクで印刷しています。対してロー視点は黒い紙に白インクで印刷しています。
見ている世界の雰囲気の違いを表現するためにあえてコラソンは白多め、ローは黒多めの画面構成にしていたので、インクもそれぞれに合ったいい感じの乗り方をしてくれました。

リバーシブル本が「地続きの物語」だとしたら、こちらの分冊版は「それぞれの物語」という印象になったのが面白かったです。内容は一緒なのに製本の仕方で見え方が変わったので、同人誌って奥が深いなと思いました。
終わりに
対比が大好きなので、めちゃくちゃ対比を入れ込みまくりました。もう十分入れ込んでやり切ったな~と大満足だったのですが、いただいた感想で「空に手を翳すコラさんと地面に手をつくローくんの対比が…」とあり、「エッ?!ドコ?!描いた覚えがない!」と慌てました。

ホントだ!?対比になってる!
気づいて下さって本当にありがとうございました。対比が大好きなので、対比要素が増えてめちゃくちゃ嬉しかったです。
こんな風に自分でも気づいていなかった要素を発見してもらえると、とっても嬉しくなります。読んでくださる方の読解力に救われています。
話は逸れますが、たとえ想定していた解釈と真逆の解釈を感想でいただいたとしても、それはそれでめちゃくちゃ嬉しいです。自分になかった視点でもう一度物語が読める!つまり一粒で二度美味しいので、お得~!
どんな感想でもいいので(誹謗中傷は嫌ですが)、ご自身が感じたことをありのまま送ってもらえると嬉しいです。
感想フォームです。↓
https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLScJcT2zNdn8jF-jUYTXYy7v0I1OhNJv98Q1bWAm_JlooIcFSA/viewform
「はじめに」でも書きましたが、あとがきを本に載せないのは制限を掛けたくないからなので…
今回の本はこちらから全文読めます。↓
漫画の本文は大体この歌を聴きながら描きました。↓
(当初の目的「推し絵描きの同人誌を手に入れたい」は無事達成できました!最高だった…本当に最高だった…同人誌、サイコ~~~!!!!)
本の詳細
タイトル:さあ行こう 黎明の花が 咲いている
ジャンル:ONEPIECE(コラソン+ロー)
形式:リバーシブル本
発行日:2024/01/07
印刷所:栄光(一版目・オマケ)、丸正インキ(二版目)
サイズ:A5
頁数:44ページ(表紙含む)
【一版目】表紙:スターアートボード 19.5kg・クリアPP
オンデマンド カラー + ピンク
本文:栄光コミック
オンデマンド スミ
【二版目】表紙:アートポスト 180kg・クリアPP
4色フルカラー印刷(オフセット)
本文:上質90kg
スミ1色刷(オフセット)
【オマケ】ロー視点
表紙:色上質 110kg 黒
本文:色上質 110kg 黒
オンデマンド 白
コラソン視点
表紙:上質 135kg
本文:上質 90.0kg
スミ1色刷