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J.S.バッハ試論

J.S.バッハ(以下バッハと略す)は1685年ドイツのアイゼナハで生まれライプチヒで没し、一生涯の間ドイツを離れることはなかった作曲家である。そんな三百数年前のドイツで活動した作曲家の音楽が何故現代の日本人を感動させるのか。本論はその、なかなか終わりの見えそうにない問いに一つでも多くの答えの導きの糸を見つけていってもらおうとする試論である。 何故我々現代人はバッハの音楽に感動するのか。それはバッハと現代、あるいは現代日本の文化に共通項がいくつも存在するからである。ここで多少乱

    • J.S.バッハの音楽における超越論性について

      バッハの音楽はある意味で超越論的(神学的)で、ある意味で郵便的(グレン・グールド的)である。この2つの要素は相反するものではない。バッハの音楽を二元論で語ることはできない。何故か。彼の音楽は多声に散種されているからだ。つまり、彼の音楽の中にある超越論的なものと郵便的なものを切り離して考えることはできない。宗教と世俗の混在こそが、バッハの音楽の代名詞である(そしてそれは二つの意味でリミックス的な美でもある)。 カンタータの曲が器楽曲の転用であったりするのはまさに以上のような理由

    J.S.バッハ試論