【30話】韓国カジノ【まだ人間?】
-前回の続き-
前談の通り、ボスにはよく韓国カジノに連れて行かれる。
きっかけになったのは社員旅行で行ったシンガポールのサンズでバカラを隣どうしで座って平台(VIPでは無いテーブル)で遊んでいた時の事。
序盤調子が良くてロケットスタートを決めたボスは、手元にあるチップを女子社員に配りまくって、「好きなほう賭けなさい」とマハラジャ状態だった。
よく理解していない女の子達にこっそり「社長と同じ方賭けな」とか、「少しポケットにしまっておきな」とかアドバイスしながら、結局女の子は
負けたらボスから追加チップが飛んでくる。
勝ったら一部ポケットにしまって小遣いにする。
といった無敵プレイで1人頭20万弱くらいはそれぞれ部屋に持って帰ったらしい。
俺は俺とて、唯一自分の財布から出した金でボスの横で接待プレイをする。
俺だけ1円も得しない。
ちなみに接待バカラをやらせたら俺は日本一ウマい自信がある。
半目は張らないで、絶対にベットオーナーにならない。
横でのぞき込んで全力応援。
「さすがでーす!」
「信じてましたー!」
「これは仕方ないっすわ、次!」
みたいなテーブルの盛り上げ役に徹する。ボスが厚いベットを的中させた時は女子にも一緒になってテーブルの淵をパンパンさせた。
ボスのラッシュは止まらなかった。
ただ女の子が流石に自分の2カ月分の給料を1回のベットで吹っ飛ばす社長を見てて疲れてきていた。
少し雲行きが怪しくなり、もう少しで勝ちが1000万を超えそうな所でグラフは下に傾いた。
俺はオカルトは信じないけど、このままマイナ転する事はボスにとっては現金以上のマイナスになると思った。(女子の前では勝って見せてあげたかったからだ)
1000万にタッチすると言って1000万ウォン(日本円約100万)をつまむ社長を制して、
「一回のベットは500万ウォンまで、更に3回連続で外れたら腕を引っ張ってでも今日は切り上げます」
と伝えた
その瞬間まさかの(?)3連敗、あっけなかった。
着地は結局日本円で500万プラくらいだっただろう。
「はい!終わりー、みんな連れて飯行きますよー!」
俺は立ち上がったが、ボスは席を立とうとしない。
ここで俺は本当に腕を引っ張った。
耳元で「今日は女の子にカッコいい所見せれたので良しとしますよ」
と伝えて強制連行した。
この旅行では何度も「お前が止めなきゃ1000勝ってたなー」とかぼやかれたけど俺耳を閉ざしていた。
そして無事旅行も終わり、その後ボスは友達と数回カジノに行くのだが、勝っている所からマイナスまで突き落とされて帰るというのを何回も食らったそうだ。
ある日ボス部屋(社長室)にて
「俺ストッパーが居ないと負けるまでやっちまう、お前次から頼むわ」
と言われ、それからは韓国行きのかばん持ちを何度もやらされた。
勿論これは仕事だから出勤扱いだ。
気疲れはするし、結局専務(ウチのナンバー2)にも良い顔されないしで、大した良かったとも思えないが、まぁこの頃はボスとはとても仲は良かったと思うし、ボスは俺の事が大好きだった。
結局俺はプライベート以外でもギャンブルだった
-続く-
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