【27話】マカオへ行く②【まだ人間?】
-前回の続き-
昼は適当にポーカー。
飽きたらみんなでバカラ。
たまーにブラックジャックやって、スロットで金を燃やす。
世の中の最近流行のプロギャンブラー達と違って、負けて元々の俺達のバカンスはノーストレス。でも俺らは全員ギャンブルでほとんどの生計を建てている。
(サラリーマンである俺の給料でさえ当時はカードの引き落としで大体吹っ飛んでいた)
この日もポーカーで暇を潰していた。
ゴミみたいなハンドでコールインして、2ペアを作ってキャッキャする。
日本ではタイトに遊んでいる俺も、バカンス中となれば話は別。
硬い日本人が必死になってハンドを待って、やっと入ったプレミアハンドを割るのが暇つぶしのイタい奴だった。
ポーカーに飽きてフロアをうろうろしていたYが話しかけてくる。
「〇さーん、サウナ行きましょー」
マカオでサウナと言えば風俗の事だ。それもかなり高級なやつ。
ちょっと気分じゃなかった俺は「もーちょい遊びたい」と断ると、今度はAに話しかけている。
よっぽど行きたいのだろう...
Aにも断られた様子のYは結局一人で行くと言い出す。
高級店には日本語も通じる黒服が居るので行きやすいとは思うが、なかなかの見上げた根性と性欲だ。
Yがサウナに向かって出発した後、2時間くらいしてからだろうか、俺もそろそろ飽きてきたのでYに「終わったー?」とラインを入れてみた。
「丁度終わって今休んでます」
と返事が来たので、俺は夜風に当たりながら散歩をしたかったので、歩いて行けそうなゴールデンドラゴンホテルの「18サウナ」という店に歩いてYを迎えに行った。
GoogleMapを見ながら向かったのだが、道中にやたらとローカルな古いアパートだらけの道を通るはめになり、若い現地のアンチャン達が暗がりにたむろしていたりと、ショルダーバッグに大金の入った俺からすればかなりスリリングな散歩になった。
↑こんな感じの夜バージョン
ゴールデンドラゴンホテルに着いた俺は「着いたよー」を連絡をすると、程なくしてYが降りてきた。
興奮気味にYが「ハンパじゃない事になりました」と、サウナであった話を語りだしたので聞いてみると、後に俺が「人生スベらない話ベスト3」に入るようなドラマチックな出来事があったという
まず、このマカオ式サウナのシステムとして、店舗には数十から週末は100名近い嬢が待機している。
一定時間に一回、店中の嬢(中国や韓国のアジア系から東南アジア、白人から黒人、更には日本人まで)が胸にナンバープレートを付けて客にアピールをする。
気に入った子が居れば黒服にその子のナンバーを伝える
あとは個室に呼ばれるので、その子とニャホニャホする。
簡単に言えばそんなシステムだ。
Yは86番の女の子が気に入ったらしい。
黒服に番号を伝えると、「OKサー!」みたいな感じでメモ紙に86番とYの客番号を控える。
個室に呼ばれてワクワクで待つYの部屋にノックが鳴る
「Hi!」
と入って来たのは指名した子とは似ても似つかない上半身タトゥーの白人の嬢だったという
この時目が点になっているYの顔を見れなかったのはとても悔しい。
現在はレーシックをしたYも、この時はまだレンズの分厚い眼鏡をかけていただろう(これからシャワーに入るにもかかわらずだ)
彼は気が弱いわけでは無いのだが、名門大学を卒業した俺らの中でもトップクラスの学歴を誇るメガネだ
「だめだめ!チェンジ!!」
なんてタトゥー女になんて言えるわけが無い。
彼はその女にされるがままに責められて事を終えたらしい。
Yは後に気付くのだが、黒服の数字の書き方が汚く、86の6の文字が貫通していて、8に見えたようで、88番の子が来てしまったらしいとの事。
俺はその話を聞いて大爆笑した。
サイコーの旅の思い出ができてハッピーだったろう。
そして多分Yは生涯タトゥー女子とニャホニャホする機会は二度と無いだろう。
もちろん俺は聞いた
「で、良かったの?」
Yはすかさず言った
「めっちゃ良かったです」
-続く-
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