青山Q太郎

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青山Q太郎

まとまりのない事を書き続けるだけです 美術と本と音楽の話が多いです X(Twitter)→@bmyasu

最近の記事

雑記59 / ゆめしか家のお絵描き会に参加した話

美術作家の大槻香奈さんプロデュースの半オープンスペース『ゆめしか家』がオープンした。 構想段階から色々お話を伺ったり、食器を寄贈したり、なんのかんのとして大変楽しみにしていた。いよいよ本格オープン、お絵描きワークショップもちょうど休みの日程だったので、息子を連れて参加。 住所非公開で場所はイベント参加者だけに知らされる、この感じも秘密基地感があってワクワクしてしまう。 息子は『こぐま座α』で開催された大槻さんのワークショップにも参加していたので、久々のお絵描き会にウキウキ

    • 雑記 58 / 手の思考、民藝運動

      例えば、生きる上で何かの問題意識とか疑問があったとする。それは社会的なものかもしれないし、個人的なものかもしれない。簡単に解決できるタイプのものではなく、社会や歴史の中にまだ解決策がないものかもしれない。 そうした問題意識や疑問に対して人は考える。いろんな形で考える。 普通、「考える」とは頭で考えることを指す。しかし考えるのは頭だけじゃない。身体を使って考えて学ぶこと、そしてアウトプットされる物事はたくさんある。「考える」とは頭と身体を組み合わせることで一層ドライブする行為だ

      • 雑記 57 / 魯山人お勉強会

        この度も大槻香奈さんのシラスに読んでいただきお勉強会を開催した。 今回のテーマは北大路魯山人。 まず魯山人という人物そのものがあまりに面白い。年表を丁寧に追うだけでも二時間配信五回分くらいになってしまうのではないか。 本人は大変な人生を過ごしたし、特に捨て子同然の幼少期は壮絶。さらには魯山人の傍若無人っぷりに振り回された周囲の人々のことを考えると全く笑えない。それでもやっぱり濃密な人生であり、作品や随筆と照らし合わせて考えさせられる部分が大きい。没後60年以上経った今でも、

        • 雑記 56 / 苺のショート・ケーキ理論

          中二の春、これを読んで脳を焼かれた。 今も書き写しながらゾクゾクしてしまった。最高。それにしても村上春樹は文章が上手い。 「なるほど、愛とはそういうものか」と雷に打たれたように悟らされた13歳はちょっとした回り道もしながら、大きく方向を変えることなく37歳になってしまった。正確には自分に備わっていたとある感覚に輪郭を与えられたような感じだった、と今は思う。当時はもっと混乱したまま受け止めてしまったけれど。 この精神的フェティシズムがきっかけでハマったゆえに、村上春樹の小説

        雑記59 / ゆめしか家のお絵描き会に参加した話

          石と表象としての世界

          タイトルは数年前に思いついてしまったけれども、単なる駄洒落のようになってしまうので頭の奥にしまい込んでいたものだ。 しかしながら、木ノ戸久仁子さんの2024年最新モードである個展『アーティファクト』に足を運んでみたところ、ショーペンハウアーの言う「意志」と木ノ戸さんの「石」はやっぱり近しいのではないかと思い至ってしまった。 そして石であるそれぞれの作品には、全てにそれぞれの世界が成立していて、本当に「石と表象としての世界」じゃないか、と驚かされた。 ここから先のテキストが長

          石と表象としての世界

          世界の限界としてのポートレート

          9月18日(水)に大槻香奈さんのシラスに出演して画集『ゆめの傷口』の個人的な読み解きについてお話した。重要な内容だったと思う。芸術と触れ合う上での自分自身の視点がブレイクスルーしたような感覚もあり、これを礎に色々と展開できるのではという予感もあった。 その内容は時間をかけてテキストとして整えて、何らかの形で発表するつもりだ。それは自分にとっても大切なことであるし、それをきっかけに大槻香奈という美術作家に対する批評が活発になれば嬉しい。 この日の手応えを忘れないために、配信で自

          世界の限界としてのポートレート

          雑記 55 / 伝えるということ、それに伴う情報量

          そこそこ長くなるけれども思いついたことをメモするために書く。 このところ『神の雫』を読んでいる。あらすじはさておき、ワインの味を表現するために様々な比喩表現が使われている。ブドウを絞って発酵させた飲み物にそれだけの差異が現れることも凄いけれども、何よりその表現方法だ。時には音楽や建築、世界各地の景色だったり、記憶や心象風景、登山や人生そのものに例えながらワインの説明をしてくれる。「なるほど、構成要素的に分析するだけでなく、物語的に表現することで伝わりやすくなることもあるのか

          雑記 55 / 伝えるということ、それに伴う情報量

          雑記54 / 批評とお絵かき会と

          先日、大槻香奈さんのシラス番組『「ゆめの傷口」作品集について話す会・その3』に呼んでいただいた。 「時間が足りないかも」と思って一気呵成に喋り続けたらちょっと時間が余ってしまった。 (そこでもっと話すべきこともあったんだけれども、自分の話の情報量で自家中毒気味になっていたので最後は緩やかに着地した。別にこの一回で全てを話す必要もなければ、そもそも全てを話せるわけもない。) 事前準備の段階から「今回は批評的に画集を読んで話します」と告知していた。 画集も一冊の本であるし、作

          雑記54 / 批評とお絵かき会と

          山に落ちてて拾いたくなるもの

          このテキストを書いている9月5日(木)現在、白白庵では田村一個展『山山人山山』を開催中(9月8日(日)まで)。 今回の出展作品、特に新作類については下記のインタビューにて語っていただいてます。 田村さんの作品の魅力はなんだろう、何がこんなに人の心を掴んで、そして僕の琴線に触れるんだろうと考えてみると、作品から溢れてくる田村さん自身の焼き物に対するセンス・オブ・ワンダーにあるんじゃないかと思い至りました。 蛇足でちょっと寄り道すると「センス・オブ・ワンダー」はレイチェル・カ

          山に落ちてて拾いたくなるもの

          雑記 53 / ガラスの仮面

          今更ながら『ガラスの仮面』を通しで読んだ。 LINE漫画で無料になっていたのをXで知り、一気にずぶずぶと・・・ 無料期間だけでは読みきれず、当然そこから先は課金して読み終えた。ちまちまと我慢できる代物じゃない。読み始めてからは全てのやるべきことを投げ打って没頭してしまった。おかげさまで先月のうちにほぼ終わっていた原稿たちはまだ仕上げられていない。並行して進めていたあれやこれやも、読みかけのなんのかんのも全て放置してのガラかめ。ヘッダーの写真はカナヘビ。 いや僕のような新参者が

          雑記 53 / ガラスの仮面

          雑記52 / 2024年の夏休み、お勉強会

          昨日まで夏休み。前半は息子を連れて実家へ。 いろんなきっかけが重なって今回はちゃんとルーツについて父や伯父に尋ねてみようと決めての帰省だった。 というのも、大槻香奈さんのシラスで開催しているお勉強会の続くテーマが「やきものレジェンド・加藤唐九郎と贋作の話」 タイミングとしては偶然だけれども唐九郎やらその世代のお歴々の話やリアル目撃譚も産地の老人たちはご存知なのでしめしめと。 そもそもここまでのお勉強会と『日本現代うつわ論』でのあれこれでの調べ物も重なって、自分自身の感覚の

          雑記52 / 2024年の夏休み、お勉強会

          大槻香奈作品集『ゆめの傷口』出版記念展@神保町画廊

          大変お世話になっている大槻香奈さんの新しい作品集『ゆめの傷口』が出版された。素晴らしいことです。おめでとうございます。 白白庵で僕が撮影したデータも使って頂いているのでこっそり誇らしいです。 書籍になることで、情報の届く距離と時間は遥か遠くまでを可能性として含むようになるので、夢があるなぁと思います。 そしてその出版記念展が神保町画廊にて8月2日(金)よりスタート。初日を逃すと最終日まで行けないと気づき、長めの昼休みを取ってオープンとほぼ同時にお伺い。 作品集装画の作品

          大槻香奈作品集『ゆめの傷口』出版記念展@神保町画廊

          雑記51 / 古い記録のリアリティと思い出したこと

          10年ほど前、やきもの業界で仕事をすると決めた時に立ち寄ったBOOKOFFや古本屋で、立て続けに祖父の記事が掲載された陶芸ムック本や雑誌を見つけた。 「こんな適当に見つけられるくらいいろんな本に載ってるだなんて、祖父はそれなりに有名だったんだなぁ」と感慨深く思っていたけれども、その後記事掲載されている本をあまり見かけていない。 偶然連続して見つけた時は100~500円くらいで買ったのに、その後祖父の名前を見かけても書籍として割高だったり他の内容が薄かったりで流してしまう。 あ

          雑記51 / 古い記録のリアリティと思い出したこと

          雑記 50 / 近況、「日本現代うつわ論4」途中経過

          仕事を終えて帰ろうと思ったら突然のスコール。一昨日の雷雨で店の置き傘は出払ってしまったから身動きが取れない。 それならばとnoteを開いてみたら「しばらくあんた書いてないでしょ」という通知が来ていた。 「日本現代うつわ論4」用の原稿を書かなきゃいけないからこのnoteの更新頻度を落とそう、と決めてからみるみるうちに筆不精を発揮してしまった。 7月も20日を過ぎたというのにまだ一度も更新していなかった。三日に一回くらいは書くつもりでいたのに。 とはいえその間毎日、何かしらの

          雑記 50 / 近況、「日本現代うつわ論4」途中経過

          雑記 49 / 忙殺を許すな

          『日本現代うつわ論4』用の論考を書くためにこのnoteの更新を減らしたはずが、結局忙殺されてたいして進んでいない。「忙殺されて」という言葉を本当は使いたくない。日常のちょっとインスタとかTwitterを眺めてしまったり、脳をオフにしていた瞬間をかき集めれば書く時間はあったはずだ。それは主に己の精神性の問題だ。 草稿見たいなものはあるのだけれども、それをじっと眺めているうちに違う着地点が見えてしまったり、ラフに書いていたところが気になってしまって調べ物を始めてしまったり、とい

          雑記 49 / 忙殺を許すな

          雑記 48 / 丹波焼の歴史を背負って

          6月22日(土)から白白庵では大上裕樹個展『Inlays on the ridge』がスタート。開催に先立って作家インタビューも白白庵のnoteにて公開しています。 素直な言葉で語られる良い記事になっているかと思いますのでぜひご覧ください。ここで語られたことを噛み砕きながら作品を鑑賞しつつ、この記事を作成したのはとても楽しい時間でした。 40代を目の前にして陶芸家として「ターニングポイントを作る」という意識で今回の作品ラインナップが決まったそうです。 これまで取り組んでき

          雑記 48 / 丹波焼の歴史を背負って