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送りバント推進派のために野球のルールを変えてみよう

著:原島(監督)&梅村(部長) 編:梅村

皆様こんにちは。サイゼリヤの常連と化した監督です。
今回のお話は部長とサイゼリヤで駄弁っていた時に生まれた話題なのですが、この時食べていたのは「ティラミスクラシコ」でした。やっぱり甘い食べ物は発想を豊かにするんですね。甘いものを摂取した後に練習試合の予定を思い出す監督もいるぐらいだし…。

そんな監督の固定打順は、
1番 エスカルゴのオーブン焼き
2番 半熟卵のミラノ風ドリア
3番 イカの墨入りスパゲッティ
4番 ティラミスクラシコ
です。
では今回もよろしくお願いします。

1.送りバントの価値を高めてみようという話


事の次第はこちらのツイートです。

部長と監督がサイゼリヤでグダグダしていた時にふと出た話題なのですが、その発端はこちらのツイートに対するリプや引用リツについて話していた時でした。

監督「これwOBAが高い打者に送りバントさせるのは得点期待値を下げてるってことっすよね」
部長「はい」
監督「じゃあwOBAが低い打者には送りバントさせてもええんよね」
部長「はい」
監督「てかこれ送りバントは無意味っていうことじゃなくて、得点しようとしたときに送りバントはマイナスに働くことがあるって話っすよね」
部長「はい」
監督「じゃあ送りバントってどういうルールだったらプラスに働くんかね」
部長「はい(bot)」
という流れで出てきました。

ここで部長(bot)が「献上するアウトの価値を進塁することよりも下げてしまえばいいんじゃないのか」と面白いことを言います。

現在、日本を象徴するスモールベースボールの代名詞と言われた送りバントの価値に疑問符が付けられてきています。価値は少ない(無い)とする人や、そんなはずはないという人がSNSで熱い議論を交わしています。

現在の送りバント必要不必要論争の争点は、「進塁するメリット」と「アウトを献上するデメリット」とのせめぎ合いではないでしょうか。

これまで送りバントは「進塁するメリット>アウトを献上するデメリット」と考えられていました(というかデメリットを見ないように考慮していなかった感もありますが)。

試合後に監督が「手堅く送ったが、チャンスで一本が出なかった」というコメントが出るように、送りバントによってランナーを送る(=進塁させる)ことに一定の価値を見出していたのだと思われます。

しかし、セイバーメトリクスが着目されるようになった現代において、送りバントは「進塁するメリット<アウトを献上するデメリット」と考えられるようになってきました。このように、「<」か「>」かの認識が揺るぎ始めている現代だからこそ、先ほどのツイートに対して賛否両論が出てきたのだと思います。

送りバントの実際の価値は一旦置いて、今回のテーマは「進塁するメリット>アウトを献上するデメリット」と誰が見てもなるように野球のルールを変えてしまおうという話です。

例えば、究極のルールを作るとしたら「送りバントによって先にランナーを進塁させたチームが勝利」です。このルールであれば、「アウトを献上することで勝利が得られる」という送りバントの価値が唯一神となります。
しかしこれでは野球にならないので、野球がゲームとして成立する程度に「送りバントによって進塁するメリット」を爆上げしましょうというところになります。

2.どのようにルールを変える?


サイゼリヤで駄弁っていた時に出た案がこちらのツイートに書かれています。

改めて書き起こしますと、
①    三角ベース案
②    アウトをスリーアウトより増やす
③    外野に自動的にアウトになるゾーンを作る
④    進塁することで得点が加算される
です。

これ以外にも、
⑤    スリーバント失敗してもアウトにならない
⑥    打者がフライアウトになった場合はランナーを一つ前の塁に逆戻りさせる
です。すでに野球として成立していない気が。このルールだと送りバントの価値はどのように上がるのか、その理由を見ていきます。

①    三角ベース案
→ホームが近くなるため、進塁することのメリットが上がる
②    アウトをスリーアウトより増やす
→アウトを献上するデメリットを下げる
③    外野に自動的にアウトになるゾーンを作る
→ヒッティングをすることにリスクを持たせることで、相対的に送りバントのメリット(ここでは安全性)が上がる
④    進塁することで得点が加算される
→進塁することのメリットが上がる
⑤    スリーバントを失敗してもアウトにならない
→ヒッティングより送りバントの方がボールにコンタクトしやすいという性質を活かして、球数を増やすという新たな価値を送りバントに付与する
⑥    打者がフライアウトになった場合はランナーを一つ前の塁に逆戻りさせる
→③と同様、ヒッティングにリスクを持たせることで、相対的に送りバントのメリット(ここでも安全性)が上がる

基本的に送りバントの価値を上げるためには、
⑴    進塁すること(=ホームに近くなること)のメリットを上げる(①&④)
⑵    アウトを献上することのデメリットを下げる(②)
⑶    ヒッティングにリスク(危険性)を持たせることで、送りバントの価値を高める(③&⑥)
⑷    送りバントに新たな価値を付与する(⑤)

となるのでしょうか。⑶とかスゴイですね。野球の醍醐味であるヒッティングにリスクを持たせるってこれもう野球ちゃうやろ。

雑記:ていうかこのルールの大半を適用したとしてもどのみち打たせた方がいいんじゃね?

3.改めて送りバントって

ということで、送りバントの価値を高めるために野球のルールを変えたらとんでもないことになったぞというお話でした。
そこはまあいいとして、じゃあ正常な現行のルールにおいて送りバントってどうなのよという話です。

(以下部長担当)

現行のルールにおいて、送りバントという行為自体に「得点(期待値・確率)」を増やすという効果はほぼ存在しません。これ自体はそれこそ野球のルールが変わるか、ボールの飛距離が大きく変化するかでもない限り変わらないでしょう。

これはすでに多くの媒体にて触れられているとおり。今更ここで詳しく再検証することはしません。事実、統計的な研究が進んでいるMLBでは年々バントは減少傾向にあります

ただ、だからといってバントの存在をすべて悪として切り捨てることが正解か?と言われるとそうではないと思うのも正直なところ。

たとえば以下のリンク先を見ていただきたいのですが、レッズのTJ・フリードルは今季17のバントヒットを決めました。

彼は同時に18本塁打を放っており、1974年では2人目となる「17本塁打17バントヒット」の珍記録を達成した選手。これまで非力な打者の選択肢として選ばれてきたバントですが、そもそもバント自体の減少や強い打球に対抗するためポジショニングが変化してきた現代では新たな価値が生まれつつあるのかもしれません。

すなわち、「ある程度打てる打者による奇襲」としての「(セーフティ気味の)送りバント」というのは1つの選択肢なのではないか?という問いを残して今回のnoteを終わろうと思います。

ありがとうございました。


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