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あおヤギさんからの手紙#12 コロナで見えた医療の課題を乗り越えるカギ-日本版家庭医制度を創設する。


こんにちは、衆議院議員の青柳陽一郎です。

新型コロナウイルス感染症のまん延は未だ収束する気配が見られず、むしろ変異株の影響で感染拡大のスピードと規模が大きくなってしまっています。政府は緊急事態宣言やまん延防止等重点措置を発令し国民の皆さまに感染対策と人流抑制に取り組んでいますが、どうしても後手後手で短期的な効果が減少してしまっています。

政府も人流の抑制策とともに、ワクチン接種、検査、医療提供体制の拡充、治療薬・治療方法の確立に危機感をもって取り組みを進めるよう国会としての役割を果たしていきたいと思います。

コロナで見えた日本の医療体制の課題


そもそも日本は医療先進国だと信じていました。多くの国民の皆さんもそうでしょう。国民皆保険や医療機関へのフリーアクセス、平均寿命の高い健康長寿国だと自信を持っていました。

ところが、新型コロナウイルス感染症のまん延によって日本の医療の課題が浮き彫りになったのです。

例えば、過度な受診控え、発熱や咳などの症状が出ても、不安を気軽に相談できる医師がいないため、適切な検査・治療にたどり着くことができない事例が散見されています。また、コロナに感染して、自宅やホテルでの療養措置となった場合も適切な治療が受けられず、重症化して命を落とすケースもありました。これは医師が療養に関与する仕組みになっていないことが原因で、療養から医療への接続に大きな壁があるのです。

ワクチンの開発や確保が遅れたこと、検査が進まないこと、入院ベッドが増えないこと、治療薬が遅々として認められないことなど医療先進国日本は幻想だったと思わざるを得ない現状です。

一方、コロナ以前から課題は指摘されていました。それは医療の進歩により、結核などの感染症による死亡は激減しましたが、いま、がん、心筋梗塞、脳梗塞、糖尿病などの生活習慣病が医療需要の多くを占め、我が国の疾病構造は大きく変化したのです。生活習慣病は日常生活を改善することで一定程度抑えられる疾病で、健康管理つまり予防を通じて防げる可能性があるものです。

しかし医師は、予防を医療としてみていないと言われます。ここでも予防から医療への接続に壁があるのです。さらに地域包括ケアにみられる医療と介護の壁もあります。

このコロナ禍で見えた我が国の医療の弱点、それは予防と医療、医療と介護、療養と医療に壁があり、国民がなんでも相談できる頼れる医療制度になっていない、国民一人ひとりに寄り添ったきめ細やかな医療体制を再構築する必要があるということです。今こそ「国民本位の医療を再構築する」国民の手に医療を取り戻す「医療の民主化・メディカルニューディール」が必要と考えます。

そしてこの考えは、立憲民主党の政策「ZEROコロナ戦略」の本丸になる、自民党にはできない政策の対立軸になる概念だと確信し、今回「医療の民主化 日本版家庭医制度の創設」について投稿いたします。


「医療の民主化・メディカルニューディール」とは?


一人ひとりに寄り添った国民本位の医療制度を再構築する。

そのためには、地域におけるプライマリケア(地域住民の健康上の問題や疾病に対して初期段階で適切な診療を行い、継続的な医療を提供すること)の実現を図っていくことが必要です。そしてそれは、すべての国民が予防から医療まで相談できるかかりつけの医師を持つことができる「日本版家庭医制度」を創設することが一つの大きな解決策になると「私たち」は考えました。

「直諫の会」で立法化を検討 「医療の民主化」議員連盟設立。 

「私たち」とは、立憲民主党内に存在する中堅若手の政策研究グループ「直諫の会」です。


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中島代議士、重徳代議士そして私の三名が中心となって医療の民主化、メディカルニューディールを何とか実現したい、それにはこの日本版家庭医制度の立法化が欠かせない、こう判断し、野田佳彦元総理と相談し「医療の民主化議員連盟」を設立、立法化の作業に入りました。


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「日本版家庭医制度整備法(仮称)」は、日本の医療制度を大きく変える大改革法案で、その目的と理念、政府の責任と役割を示す所謂プログラム法案で、2021年5月20日現在、法案骨子まで完成しています。何としてもこの国会で提出までこぎ着けたいと思います。


今後の課題と展望

「日本版家庭医制度整備法(仮称)」は、日本の医療制度を大きく変える大改革法案です。そこにはまだ様々な論点があります。診療報酬体系における患者負担のあり方(家庭医登録への定額負担)、地域包括ケアとの関係、フリーアクセス・自由開業の問題、予防医療への効果と効率性・エビデンスなどなど政府と一体となり検討を進めなければなりません。

そして何よりも国民の理解と医師の理解が必要になります。
患者が増えれば医師が儲かる制度から、真の健康長寿社会、感染症など未曽有の危機の時に対応できる医療体制に変えていく。
これから立法化、法案提出、そして施行へ。本気で取り組んで参ります。

最後に、医療の民主化議員連盟に講演としてお越しいただき、法案の応援者でもあるピンピンコロリで有名な鎌田實 諏訪中央病院名誉院長の言葉を紹介します。

「鎌田先生は何の専門医ですか?と聞かれる。私はこう答えます。私はあなたの病気を治す専門医です。」
流石です。


衆議院議員 青柳陽一郎