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浦島太郎のダイエットーー Drop Dead Healthyを読む

「やってみた」系のライターさんのお仕事を、英語ではimmersion journalismとかimmersive journalismといいます。自分でどっぷり浸かってみる、といったあたりのニュアンスでしょうか。

アメリカで大人気のやってみた系ジャーナリストがA. J. Jacobsさんです。私はこの人の人柄も作品もだいすきで、かたっぱしから読んでるんですけども、とにかく発想がスゴイんですよこの人。

あるときは聖書の教えを一年間忠実に守って暮らし、あるときは百科事典全冊一字一句もれなく丸暗記して過ごし、あるときは家系図でつながった見ず知らずの大量の人間を世界中から呼び寄せる。どのはちゃめちゃも全部ニューヨークのどまんなかで真剣にやってるんですね。おおまじめ。超絶あたまおかしい(ほめてます

で、氏が「最も健康な身体の人類になろう!」と始めたどたばたプロジェクトを、一冊にまとめたのがこのDrop Dead Healthyです。

もともとはdrop dead gorgeousという表現があって、Drop Dead Sexyって映画がつくられたり、いちばんはあれですね、Drop Dead Diva(私はラブ・リーガル)ってドラマのタイトル、あんな感じの延長で使われてます。Drop Dead Healthyのdeadとhealthyという単語の並びからして秀逸です。

私自身はこれが発売された直後に買って読んでたんですが、それからもうずいぶん経ちました。このたび笑えないくらい具合が悪くなって、一年間あーでもないこーでもないと健康になりそうなことを試していたわけですが、先日ふとこの本のことを思い出したんです。

思い出すといっても、この方のお試しになった健康法があまりにも多岐に渡りすぎて、実は詳細を覚えてはいなかったんですよ。いちばん印象に残ってたのはといえば、せいぜい、日焼け止めはたっぷり塗らなきゃいけない、ってことくらい。

The American Academy of Dermatology suggests a shot-glass-ful of sunscreen every two to four hours.

Drop Dead Healthy

ショットグラス分ですよ、みなさん、ショットグラス。すごい分量。しかもそれを二時間おきから四時間おき。白人さんだから余計なのかもしれないけど、それにしても、ずいぶんとまあ、じゃないです? 相当べったべたに塗らないと効果はない。私の記憶にあった唯一といっていいアドバイスがこれだったんで、以来これだけは留意してたんですけども、今回それ以外に何が書いてあったかしら、もう一回読んでみましょと思ったわけです。

目下、私自身が、食事に最も気をつかっているので、おのずと、何を食べるかというテーマのところに興味関心がいきます。それで次に思い出したのが、こんなエピソードでした。


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