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音楽のフィーリングはグッド!

『PERFECT DAYS』(2023年製作/124分/G/日本)監督:ヴィム・ヴェンダース 出演:役所広司、柄本時生中野有紗田中泯三浦友和


東京・渋谷でトイレ清掃員として働く平山(役所広司)は、静かに淡々とした日々を生きていた。
同じ時間に目覚め、同じように支度をし、同じように働いた。
その毎日は同じことの繰り返しに見えるかもしれないが、同じ日は1日としてなく、男は毎日を新しい日として生きていた。
その生き方は美しくすらあった。男は木々を愛していた。
木々がつくる木漏れ日に目を細めた。
そんな男の日々に思いがけない出来事がおきる。
それが男の過去を小さく揺らした。

ストーリーはけっこう退屈なんだが音楽の趣味が一緒だった。タイトルの「パーフェクト・デイ」ルー・リードの名曲だし、朝日を浴びながらカーステレオで流すのは「朝日のあたる家」だった。外に仕事仲間の彼女が気に入った曲がパティー・スミスで姪っ子が気に入るのがジム・モリソン。ラストがニーナ・シモンの「フィーリング・グッド」でそれだけで満点を付けたいのだが、ちょっと説教臭い感じがしたのと、そこまで丁寧な生活は息が詰まると思ったからその分減点。

幸田文『木』を古本屋で買うシーンがあるが、まさに幸田文的な丁寧な生活というテーマなんだと思う。毎日のルーティンもその日その日で変化がある一日。まあ俳句生活のようなもんかな。最後の「木漏れ日」という言葉の解説が良かった。同じ木漏れ日はなく、絶えず変化している。

それは神社の木陰で昼食を取り、そして写真を撮ることを日課にしているのだ。デジカメじゃなくフィルム・カメラで。カーステのカセット・テープもそうだけどそういうこだわりがあるというか、ものを大事に使う人なのだ。

仕事は公園のトイレ掃除なんだが、最近のおしゃれなデザインされたトイレは横浜にはあまり見かけないやつだった。浅草という街並みもいい感じなのは、まだ日本の面影が残っているからだろうか?銭湯とか。

そんな役所広司演じる男は、普通の人の生活ができない人というふうに描かれているわけだが、時代に取り残された古いタイプの日本人であり、ヴェンダースならば小津映画のイメージではないかと思うのだ。当たり前の生活だけど丁寧に生きている。

ほとんど似ていると思うがトイレ掃除は嫌いだった。そのへんから変えて丁寧な暮らしを目指して行こうかな。それとマイツリーは必要だ。


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