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戦後ウィーンの荒廃の中で猟奇的殺人事件

『ヒンターラント』(2021年/オーストリア・ルクセンブルク)監督・脚本:ステファン・ルツォヴィツキー 出演:ムラタン・ムスル、リヴ・リサ・フリース、マックス・フォン・デア・グレーベン

第一次世界大戦敗戦後のウィーン 連続殺人事件に巻き込まれる元刑事
敗戦国オーストリアの首都ウィーン。元刑事のペーターは、長く苦しいロシアでの捕虜収容所から帰還を果たしたが、街は荒れ果て、家族の消息も定かではない。そんなとき、ともに帰還した戦友の奇妙な死体が見つかる…。魔都ウィーンの妖しい魅力が横溢する。

オーストリア映画は旧東ドイツみたいな感じなのかな。ソ連映画の文法のような、人物のクローズアップが多く、天井からのアングルとかかなり思い切った映像表現で重厚な映画になっていた。

第一次世界大戦後のウィーンの荒廃した街。日本の戦後みたいな感じだが建物は破壊されてなかった。ただ旧市街的な建築物。バックは絵のようだった。そのへん違和感を感じたが慣れれば物語がかなり濃いストーリーなのでのめり込んでいく。

皇帝派の兵隊が戦争に負けたことでウィーンは共和制になっていて、帰還兵の悲惨な姿を映すのだが、ソ連に捕虜になっていた者たちが収容所生活から戻ってきたらタイムスリップした世界に舞い降りたという感じか?その中で元兵士に対しての猟奇的な殺人事件。

軍隊内での生死の争い。権力を持つ兵隊たちがリンチの末に仲間を殺したことに復讐心を燃やす殺人者。ストーリーは複雑だけど探偵ミステリーの要素が強い。警察内で元皇帝派だった男が疎外されているのだが、刑事としての能力はかなり高く、犯人を追い詰めていくが、殺されそうになったり。つまり復讐する相手の一人だったのだ。

戦時のどん底生活で妻は身体を売って生き延びていた。妻の愛のために戦争に行ったはずが守れなかった男の戦後と猟奇的事件の間で苦悩する主人公だった。面白いといえば面白いけど、ストーリーがわりと複雑か?

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