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ポーランドのクライムサスペンスはロシアに似ている

『エクソダス 爆弾に取り憑かれた男』(2021/ポーランド)監督パトリック・ヴェガ 出演プシェムィスワフ・ブルシュチュ/ アンジェイ・グラボウスキ

爆弾作りに取り付かれ、やがてギャングのボスに上り詰める男と、彼を追うベテラン刑事の長年にわたる対決を描いた犯罪アクション。ポーランドの人気警察ドラマの劇場版。
本国で2005年から映画やTVで展開されている警察ドラマ「Pitbull(原題)」シリーズの一つ。監督もシリーズのメイン監督で製作者でもあるP・ヴェガが担当する。A・グラボウスキ扮するヤツェク刑事はシリーズの主要登場人物のひとりだが、本作のストーリー自体は独立しており、単独で楽しめる。売春婦の子どもとして生まれ、愛を受けずに育った男が爆弾作りにのめり込んで裏社会でのし上がっていく前半と、彼を逮捕したヤツェク刑事との因縁が十数年を経て交錯する後半、二つのドラマが見ものだ。

WOWOWの録画。ポーランドの人気連続ドラマを映画化したクライム・サスペンス。ぽーらんど映画といえばアンジェイ・ワイダがいるように硬派な東欧的な映画スタイルだろうか?面白いのは、警察の管理システムとギャングの世界的ネットワークはプーチンのロシア国家みたいな世界観だった。警察が一人の男の私物とされているのや、ロシア・マフィアやアフガニスタンなどの犯罪組織はリアルなグローバル化された裏社会の構図なのかなと思えてくる。日本だと中国マフィアが暗躍するというような。

ほとんど爆弾魔のマフィアのボスと警察官の私怨を交えた対決なのだが。息子世代の話にもなって、こういうところの息子はバカ息子がいるのはどこの国も一緒なのか?それによって溜飲を下げるように見えているのだった。

結局は権力社会には敵わないということなのか?ロシア映画を見ている気持ちにさせられる。それはロシアもポーランドもそんなに変わりないがないというような。金儲けしようとするとヤクザまがいの商売だし、どこか警察も裏社会とつるんでいなければ犯罪組織に立ち向かえない。ただ映画のように緻密な組織ではなく、現実はもっと穴だらけなんだと思うが。

ポーランドという旧共産圏の映画だけに、ハリウッドにはない緊張感があった。笑いの要素がまったくないのだが、どこか可笑しい狂気の世界を孕んでいるのだった。


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