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元祖ブルースの女王は、ベッシー・スミス

『BESSIE/ブルースの女王』監督 ディー・リース(2015年 /アメリカ)出演クィーン・ラティファ/ モニーク/ マイケル・ケネス・ウィリアムズ

彼女は「ブルースの女王」と呼ばれていました。彼女の音楽への惜しみない愛と素晴らしい才能により、1920年代のブルースシーンで、彼女は無名の歌手から国際的な名声を得るまでになりました。クィーン・ラティファがこの伝説的なブルースシンガー、ベッシー・スミスを演じ、自身の葛藤と戦いながらも、彼女を20世紀に最も成功し、影響を与えたアーティストへとした彼女の強い精神力を鮮やかに表現します。

以前観た『マ・レイニーのブラックボトム』でライバルとしての後からのし上がってきた嫌な歌手として描かれていたのだが、ここでのマー・レイニーとの関係は、最初マーに世話になっていたがマーから独立して人気が出た。マー・レイニーは「ブルースのママ」だけれども、「ブルースの女王」はベッシー・スミスなのだった。それは、マー・レイニーは彼女に反抗するサイドメン・レヴィー(アカデミー賞の助演男優賞はチャドウィック・ボーズマン)が目立っていしまって、要するにマ・レイニーはジャズ・スタイルを理解しなかった。ベッシーも出しゃばっることを許さなかったのだ。

しかし、晩年アメリカの大恐慌時代になるとベッシーの人気も衰えて、マーに会いに行くのだがそこでは関係を修復していた。ベッシーは複雑な性格で、母親との確執があったようで母に似ている姉とは反発し兄はマネージャとなる、それでマザコン気味のレズビアンなんだけど暴力夫に惚れてしまうという屈折したブルース歌手として描かれている。家族への複雑な感情がテーマにもなっている。

単に偉大な歌手というより複雑な感情を抱えていた歌手として描いたのは女性のディー・リース監督だったからかな。そういう意味では面白い映画だった(その当時、同性愛であること)。終盤は落ちぶれていくのだが、復活コンサートをジョン・ハモンドから誘われて、ベニー・グッドマンらとやって成功させる。ビリー・ホリデイやジャニス・ジョップリンへ影響を与えた知らざるベッシー・スミスの半生。


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