見出し画像

日本に併合された沖縄の歴史

『小説 琉球処分』(1972年)大城立裕

清国と薩摩藩に両属していた琉球――日本が明治の世となったため、薩摩藩の圧制から逃れられる希望を抱いていた。ところが、明治政府の大久保利通卿が断行した台湾出兵など数々の施策は、琉球を完全に清から切り離し日本に組み入れるための布石であった。琉球と日本との不可思議な交渉が始まったのである。
「進んで他を支配する実力を持たないかれらは、絶えず相手の動静を受け身で感じとっていたし、その刹那刹那の感覚にふれてみるだけだった。」「そのようなかれらの行動は、実に行為ではなく、たんなる反応にすぎない」

菅直人首相が沖縄問題をこの本から沖縄問題を学んだと宣伝されているが、まさか「日本処分」とかいうことにはならないよね。

龍馬がいない『竜馬がいく』のようでもある。そこにこの小説の晦渋さがある。開国党と頑固党との狭間で揺れる若き獅子たちが獅子になれずに帝国の歴史に飲み込まれていく。日本の侵略の第一歩として、松田琉球処分管の四年間の徒労と、この一ヶ月間この本を読んできた徒労が重なる感じ。(2010/11/27)


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?