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ノマドの俳人、河東碧梧桐

『忘れられた俳人 河東碧梧桐 』正津勉(平凡社新書)

正岡子規の門下で、虚子と並び双璧と謳われた碧梧桐。子規への敬慕と、その旅での「歩き」っぷりとを軸に、新傾向から自由律へと表現を進めた碧梧桐の俳句と人生をたどる初の評伝。 虚子と並び近代俳句を拓いた二代俳人、碧梧桐。子規亡き後、俳句革新を推し進めるべく一念発起、ひとり全国行脚「三千里」の旅に発つ。その歩きっぷりに惚れ込んだ詩人・正津勉が歴史に埋もれた巨人の足跡を丹念に辿り直し、独自の語り口で現代によみがえらせる。ときに過激なまでに潔くありながら、人生は七転八倒。碧梧桐の魅力を存分に味わえる初の評伝。

出版社情報

子規の門下で、虚子と並び双璧と謳われた碧梧桐と言われるが本当に「忘れられた俳人」なのか図書館にも本がないのである。子規は一つの本棚を占領するぐらいはわかるのだが、虚子並にあってもいいはずなのに、数冊しかないのじゃないのか?手頃の入門書はこの本ぐらいだった。

俳句よりも旅人というような芭蕉を上回るような旅の多さだった。そんなところも魅力だ。自由律の山頭火とか放浪俳人は、この人が先駆者だったかもと思ったぐらい。

一息に三里はきたりせみのこえ
面白う聞けば蜩夕日かな
狼や炬燵火きつき旅の宿
行水を捨てゝ湖水のさゝ濁り
春寒し水田の上根なし雲
赤い椿白い椿と落ちにけり
白足袋にいと薄き紺のゆかりかな
痒かろう寒かろう人に会ひたかろう
能登へ渡るすずしき月の船路かな
夜に入りて蕃椒(とうがらし)煮る台処

『忘れられた俳人 河東碧梧桐 』正津勉


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