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沖縄エンタメ・ルポルタージュ

佐野眞一 『沖縄 だれにも書かれたくなかった戦後史』

沖縄には、日本の戦後のすべてがある
太平洋戦争、今なお日米の狭間で翻弄される沖縄。だがそんな中、たくましく今日の沖縄を築いた人々がいる。密貿易、軍用地主のドンなど、知られざる姿に光を当てるノンフィクション。

「月刊PLAYBOY」に連載されたものだからかエンタメのルポルタージュな感じ。同じ話の繰り返しとか尾ひれや無駄話も多そうだけど、面白く読める。米兵の物資を盗む盗賊団「戦果アギヤー」と沖縄空手が沖縄ヤクザになったとか。沖縄人の奄美人差別とか興味深い内容だった。

米兵の少女暴行事件から島唄と沖縄ミュージック。琉球王朝の盛衰史と尖閣列島。「琉球処分」によって男は東京で女は沖縄に留まるという尚家の末裔の話は哀しい。男爵を与えられ東京で贅沢三昧な暮らしをしていた尚順の食通ぶりが凄くて(ジュゴンのお吸い物、藤田嗣治画伯の松山御殿の桃源郷文章)。その尚順が沖縄戦で沖縄に戻り栄養失調で亡くなる。文庫化で新たに「尖閣列島、波高し」を追加。その頃は一億とか最高でも三億だった尖閣の値段が20億出して国有化でこの騒ぎ。場当たり的と云われても仕方ない。(2012/09/25)


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