陽気すぎて戦争を忘れてしまった中尉さん
『陽気な中尉さん』(アメリカ/1931)監督エルンスト・ルビッチ 出演 モーリス・シュヴァリエ/クローデット・コルベール/ミリアム・ホプキンス/チャーリー・ラグルス
解説
「ラヴ・パレイド」「モンテカルロ」に次ぐエルンスト・ルビッチ監督作品で、レオポールト・ヤコブソン、フェリックス・ドルマン合作の「ワルツの夢」及びハンス・ミュラー作の小説に基づいてエルネスト・ヴァイダとムソン・ラファエルソンが共同して脚色し、「踊り子夫人」「名門芸術」のジョージ・フォルシーが撮影した。作詞及び作曲は「ラヴ・パレイド」と同じくクリフォード・グレイ、オスカー・ストラウスがそれぞれ担当している。主役は「ラヴ・パレイド」「巴里選手」のモーリス・シュヴァリエが演じ、「彼女の名誉」「屠殺者(1930)」のクローデット・コルベール、「彼女の名誉」「女は真っ平(1931)」のチャールズ・ラグルズ、舞台から来たミリアム・ホプキンス、「三太郎大西洋横断」のジョージ・バービア等が助演している。
ルビッチ三作目。すっかりファンになってしまいました。これは、オペレッタでミュージカル風喜劇です。ウィーンに小国の陛下と王女がやってくる。パレードで、中尉が彼女にウィンクして笑ったのを王女が侮辱されたと思って中尉を呼び出すことに。
そこで中尉が思ってもない王女が美してつい我を忘れて微笑みかけたと言ってしまう。バイオリニストの彼女がいるのに。そのうちに結婚話まで事が進んで、バイオリニストの彼女が嘆き王女に直接交渉に行く。そこで二人は意気投合して、王女のファッションをウィーン風に変えてしまう。それに陽気な中尉さんが惚れて、めでたし、めでたしというストーリー。
今だったら、バイオリニストの彼女はどうなんだとなるが、王女お付きのアドバイザーで、中尉さんは王女とバイオリニストの彼女二人を手に入れたというわけだった。男目線の映画だけど、時代ならではということもあるだろう。
王女とバイオリニストの彼女が意気投合するシーンは、ファッションだということ。それも王女のダサい服(特にズロースとか)をモダン風にお色気路線に変えていく。そこは当時としてはかなりエロティックだったかもと想像する。
あと王女はピアノも弾くのだが、それもキャバレー風に煙草をふかしながら弾くスタイルに変えて、そこも面白いと思った。中尉が戦争もなく、暇な遊び人だから、成り立つお気楽な映画となっている。その後に戦争になるなんて、この頃は思ってなかったような。
お気楽中尉のモーリス・シュヴァリエは船越英二に似ていた。ひょうきんさを、(船越英二が)真似たのだろうか。
あとウィリアム・ワイラー監督『ローマの休日』にちょっと似ている感じがした。
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