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日本にも同様なタイトルのTVの番組があった

『ファイト・クラブ』(アメリカ/1999)監督ファイト・クラブ 出演エドワード・ノートン/ブラッド・ピット/ヘレナ・ボナム・カーター/ジャレッド・レトー/ザック・グルニエ/デヴィッド・アンドリュース

解説/あらすじ
空虚な生活を送るヤング・エグゼクティブのジャックは、謎の男テイラーに導かれるまま、謎の秘密組織「ファイト・クラブ」のメンバーになる。そこは鍛え抜かれた男達が己の拳のみを武器に闘いを繰り広げる、壮絶で危険な空間だった――。

國分功一郎『暇と退屈の倫理学』で紹介された映画。語り手のエドワード・ノートン演じるビジネスマン(大手の自動車会社の保健事業)は、何不自由ない消費生活を送っているが、ブランド品で固めた家具の家に住んでいても満足が得られない。消費社会は、個人の欲望は社会の欲望の歯車にすぎず満たされることがない。

そんな中で死の病に冒されているミーティングに参加することによって、一回性の生に気付かされ感動するのだが、そこに紛れ込んだ女が、自分と同じように偽病者でただ話を聞きたいがためにそこにいることに気がづく。それでそんなミーティング熱もさめてしまった。

ある日、移動中の飛行機の中で怪しげな石鹸セールスマン・タイラーに出会う。彼と意気投合するうちにタイラーが殴り始めて、殴り合いになり、それまでのミーティングではただ話を聞くだけだったのに、肉体的に一回性の生を味わう。酒場の外で殴り合いは、いつしかゲームのようになり人を集めていく。そこを「ファイト・クラブ」として秘密結社のような組織になる。

石鹸セールスマンといういかがわしさが象徴的で面白い。バブルだし、秘密製法がありそうだし、日本にも痩せる石鹸というのが流行った。麻原彰晃も薬剤法で最初逮捕されたんだよな。その手の話には注意が必要なのだけどどこか魅力があるのも事実(現代科学では解明できない神秘!)。

しかし、ただの殴り合いだけでは済まされず、タイラーの人道に外れた要求はどんどんエスカレートしていく。神を失った者たちの教祖的なタイラーだ。いつしか語り手の男は除外されるようになっていく。それはタイラーが知恵を拒否した肉体だけの繋がり、腕力の世界を求めたからだ。ファシスト的な組織になりつつあるが、その前段階で不良ヤンキーのチームのような。

それに反対する語り手の男が除外されていくのは理性を求めたからだろう。2000年前後といえば、世紀末で宮台真司「終わりなき日常」が言われた時期で、その前のオウム真理教騒動を知っている者にしてみれば、それとほとんど変わらないように思える。

ただアメリカでは、この後に9.11があり、「ファイト・クラブ」が爆発させた高層ビルの映像が重なったのであり、中国ではその後にメンバーは逮捕される(ウィキペディア情報)。予言的な映画のように扱わられている。

結局その暴力性は、回収されてしまうのであり(映画というフィクションに、あるいは権力側に》、今見るとただ懐かしい世界なのかなとは思う。

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