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「ブラック灯台」で働いて光が見えるのか?

『ライトハウス』(スタジオ・A24-2019)

『ムーンライト』『ミッドサマー』などで知られるスタジオ・A24と、『ウィッチ』などのロバート・エガース監督が組んだダークスリラー。19世紀のアメリカ・ニューイングランドの孤島を舞台に、嵐の影響で島に取り残された二人の灯台守の運命をモノクロ映像で描く。絶海の孤島で狂気に陥る男たちを、『永遠の門 ゴッホの見た未来』などのウィレム・デフォーと『グッド・タイム』などのロバート・パティンソンが演じる。第92回アカデミー賞で撮影賞にノミネートされたほか、数多くの映画祭で高い評価を得た。

2019年にカンヌに出品されていたのに今頃公開だなんて遅すぎるよ。2020年のアカデミー撮影賞にノミネートされたからだろうか、これは傑作映画です。

まずモノクロで映画の画面もサイレント時代のものらしいので、その構図が素晴らしいのだ。チラシを見ても二人の男の間に灯台。最初のオープニングも夜の海の中を船が遠くで光っている灯台を目指して進んでいく。なんとも不気味に光る灯台(眼のような)が舞台で、閉鎖空間で、ほとんど二人の役者で繰り広げられる格闘ドラマ.。摩訶不思議な世界を構築している。

寓話的でもあるし神話的でもある。喜劇とも言えるし悲劇とも言える。ホラーでもあるしサスペンスでもある。考えようによってはラブ・ストーリーでもあるかな。一般的じゃないが、服従と支配の世界の不条理劇。「ブラック」灯台を舞台にする企業映画かもしれない。

給料につられて見習いでやってきた男が上司と言えるのか先輩灯台守の老人にあれこれ指図される。てっぺんの輝きは俺のものというようなオヤジで俺意外は立入禁止。そんな男は掃除や下働きばっか。カモメにはおちょくられるし人魚の幻影は見るしでノイローゼに。アル中ぎみでもある灯台守のオヤジと酒を飲んでは騒ぎ出す。そして、ついに爆発!

音響も不気味な灯台の叫びが支配する世界で、孤島の荒海の自然が支配する世界で、キリスト教以前の神話(ポセイドンとかプロメテウスとか人魚とか)世界で、またそうした神話世界に憑かれた男はドン・キホーテだった。まさにドン・キホーテの面倒を見なければならないサンチョ・パンサというところだろうか?

映画『ライトハウス』ロバート・パティンソンの過酷労働シーン映像集


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