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違和から不和へ、そして共生

『リトル・ガール』(フランス/2020)監督セバスチャン・リフシッツ

解説/あらすじ
サシャは2歳を過ぎた頃から自身の”性別の違和感”を訴えてきたが、学校では女の子としての登録が認められず、”男子”からも”女子”からも疎外、バレエ教室では男の子の衣装を着せられてしまうなど、社会は彼女を他の子どもと同じように扱えずにいた。やがて7歳になってもありのままに生きることが出来ない、不自由なサシャ。家族は、そんな彼女の個性を支え、周囲に受け入れさせるため、学校や周囲へ働きかけるのだが…

性同一性障害を抱える少女と家族のドキュメンタリー。違和感が世間に対して不和を生み出す。それを受け止めなければ生きてはいけない。まず母親の違和感として、育て方とか生むのが間違っていたという自己批判が生じる。それを受け止めたのが専門医だった。まず母親の悩みを解消して(即答で、あなたのせいではない。間違ったことはしていない)、少女に向き合う。

それが社会という不和の中で耐えている。その姿に号泣してしまう。バレエ教室で一人だけ私服でレオタードを着せてもらえない。発表会のときも他の女の子たちは可愛い服なのに、一人だけ男の格好させられる。そのバレエ教室は非道いのか?

フランスでも世間一般はそういうものなのだ。学校でも最初から受け入れられるわけでもなく、母親の要望があってこそ徐々に変わっていく。彼女の生きることが問題提起で、それは本人が選ばなければならない。まずそれを受け止めた専門医の人に拍手だ。そして、母とその家族に。

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