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乱れても流れても秀子浮雲よ

『乱れる』1964年/監督: 成瀬巳喜男 脚本: 松山善三 音楽: 斎藤一郎 出演: 高峰秀子/加山雄三/草笛光子/白川由美/三益愛子/浜美枝/藤木悠/北村和夫
戦争で夫を亡くし、嫁ぎ先の酒屋を独りで切り盛りしている未亡人・礼子(高峰秀子)は、ぐうたらな義弟・幸司(加山雄三)から想いを告白されたことから、やがて自分の居場所を失い、家を出て行くことになり……。松山善三・脚本のテレビドラマ『しぐれ』を松山自身が映画用に改稿し、名匠・成瀬巳喜男監督が演出を手がけたメロドラマの秀作。高度経済成長期、スーパーマーケットの出現で商店街が次第に先細りしていくシビアな社会的状況の中、愛とモラル、そして世代の狭間に苦しむヒロインの繊細な心理が、成瀬演出ならではの抑制の効いたタッチと効果的なモノクロ映像でリアルにつづられており、ラストの衝撃とともに成瀬映画後年のフィルモグラフィを代表する1作となっている。(増當竜也)

スーパーで卵一個5円、小売店で11円。1964年の映画。スーパーの進出で小売店が厳しくなり小売店の主が自殺した。直前まで麻雀やっていたのだが。まあ消費者は安い方に流れるよな。でも今は便利さでコンビニにスーパーが喰われている。コンビニはかつての小売店だがチェーン店化してますます厳しく。そんなコンビニも今は淘汰されている。商売は難しいという映画でもあるのだけれど、見所は義弟(加山雄三)に告られる兄嫁(高峰秀子)のメロドラマ映画なのだが、兄嫁役の高峰秀子がいいのだった。小津映画、「紀子三部作」に対抗して、成瀬映画では「秀子三部作」(今名付けた)。『流れる』と『浮雲』か(ヒロインの名前ではなく、役者の名前だけど、どれも素晴らしい高峰秀子の演技だから観てね)?

成瀬巳喜男『乱れる』やっぱ面白い。小津のホームドラマから成瀬のメロドラマという感じ。小津がゴールデンタイムなら成瀬は昼の1時の連続ドラマで主婦の時間帯。高峰秀子が加山雄三から告られるんだもの。告られてからの面白さ。家の問題も絡んできて通常のメロドラマではない。いや、メロドラマの本流か?

「ねえさんが好きだ」と告白されてから二人の間がギクシャクするのはラブコメなんだよね。そして兄嫁が家族会議を開くと言って姑と小姑の中で恋人がいる発言。本当はそんなのいないのだけれども弟に愛されてしまっているから家に居づらくなってしまった。そして義理の妹(草笛光子)との対決。この草笛光子も憎らしいほど上手い。やっぱヒロインを際立たせるのはこういう対立する嫌な女がいるからなのだ。

小津のスタジオ撮影が多いのに対して成瀬映画はロケ地も魅力の一つだった。清水が舞台なんだけどお寺に加山雄三が高峰秀子に呼び出される。その寺がいい感じのロケ地だった。ネットで調べたら国の重要文化財がある「鉄舟寺」。そういうロケ地が、今でも聖地巡りされているからネットで調べると面白い。電車のシーンでは清水から上野駅経由で東北、銀山温泉へ。この温泉地も趣があって行きたくなる。そう言えば『浮雲』も温泉地が出てきたな。そこで繰り広げられる、最終結論は.......

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