時代性が伺える川柳
『川柳うきよ大学 』小沢昭一(新潮新書)
『小説新潮』の川柳欄の川柳を中心に小沢昭一がいろいろ川柳を紹介している。投稿川柳は、時事川柳だろうか?解説を読まないと、わからない時事もあるが、江角マキコが国民栄誉賞とかそんなこともあったなあ、的な懐かしさ。
天皇(今の上皇)が前立腺癌の手術をしたのだった。小沢昭一も前立腺癌で亡くなっていた。
柄井(からい)川柳は川柳を流行らせた人だが彼の川柳はあまり残っていないという。主に川柳のコンテストみたいなのをした人で「前句付け」という七七のお題をだして、それに川柳を付ける。例えば「あかぬ事かなあかぬ事かな」の前の五七五を考える。柄井川柳の辞世の句は、俳句だけど。
『宮本武蔵』を書くことになる吉川英治は、小説家に成る前は川柳作家であったと。『大正川柳』に投稿していた貧乏どん底時代。
いまならアウト!だろうな。まだこの時代は男のモラルも薄い時代だった。パンツを売る娘はブームだったんだろうけど。税金で悩まされるのは変わらない。
あまり川柳に規範を求める句よりはナンセンス句の方がいいという。ビン・ラディンも今の人は知らないかも。
これはそうかもしれない。男は隅で生息している感じだ。
落語と川柳は血縁関係にあり、枕に川柳が使われていたり落語家の面々も川柳句会をやるという。
歯切れを良くするために啖呵を切るのも一つの方法。
全部当てはまるのではないか?
特攻隊が作った川柳だそうです。笑えないよな。
川柳にも派閥があって、柄井(からい)川柳『柳多留(やなぎたる)』と文学的な『武玉川』があるそう。現代川柳でも時実新子は文芸川柳をかと思うと下山弘『川柳のエロティシズム』という本も出ていたり多様性の中にあるという。小沢昭一はちょいエロ派かな。
『誹風末摘花』は破礼(バレ)句というハレンチな猥褻句集で江戸庶民が楽しんだ。そういう好色川柳もあった。
吉原の女郎が捨てられ祀られた浄閑寺の句碑の建つ川柳。
前立腺癌を患っている小沢昭一が好きな川柳。