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アカデミー賞取らなくても観るべき映画

『ベルファスト』(イギリス/2021)監督ケネス・ブラナー 出演カトリーナ・バルフ/ジュディ・デンチ/ジェイミー・ドーナン/キアラン・ハインズ/ジュード・ヒル

解説/あらすじ
ベルファストで生まれ育ったバディは家族と友情に囲まれ、映画や音楽を楽しみ、充実した毎日を過ごす9歳の少年。笑顔にあふれ、たくさんの愛に包まれる日常は彼にとって完璧な世界だった。しかし、1969年8月15日、バディの穏やかな世界は突然の暴動により悪夢へと変わってしまう。プロテスタントの武器集団が、街のカトリック住民への攻撃を始めたのだ。住民すべてが顔なじみで、まるで一つの家族のようだったベルファストは、この日を境に分断されていく。暴力と隣り合わせの日々のなか、バディと家族たちは故郷を離れるか否かの決断に迫られる――。

時期的にも社会的にもグッドタイミングで公開された映画。アカデミー賞は作品賞は無理な気もするけど何らかの賞に絡めば宣伝にもなる。そういう意味ではいい公開日だったのですが、アカデミー賞を取らないと鑑賞されないかもしれない。まずベルファストが我々にはわかりにくい。

ベルファストは北アイルランドで造船の街(タイタニックの故郷)でイギリスの植民地だったので、民族問題が起こりカトリックとプロテスタントの対立が激しさをまして街が内戦状態になるのです。今のウクライナともつながりますが、クリミア問題に近いような。その紛争での少年の回想映画。

子供視線で、辛いことより楽しかったことを主観的に描いているので、暗くはないです。ただ不穏な空気が街の中に充満して来るのは感じる。それでも腕白小僧と故郷に生きた祖父母の想い出、そして母と父の苦難の決断。三世代にとってベルファストは悲惨な紛争の場だけでもなく、子供時代と青春の場(祖父の葬儀でのダンス・パーティー)で、それでもそこを去らなければならない悲しみ。そして、残った年老いた老婆が歌うのが「ダニー・ボーイ」なのです。

アイルランドの古歌「ダニー・ボーイ」の歌詞の意味を知ったのが一番感動したかな。そういう背景があったのだった。



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