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不思議な映画の国のアリス

『映画はアリスから始まった』(2018/アメリカ)監督パメラ・B・グリーン 出演ジョディ・フォスター/アリス・ギイ=ブラシェ/シモーヌ・ブラシェ/ベン・キングズレー/マーティン・スコセッシ/アニエス・ヴァルダ

解説/あらすじ
クローズアップ、特殊効果、カラー映画、⾳の同期…現在の標準的な映画製作技法を次々と⽣み出し、『キャベツ畑の妖精』『キリストの誕⽣』など1,000作品以上を⼿掛けた監督・製作・脚本家、アリス・ギイは、リュミエール兄弟やジョルジュ・メリエスと並ぶ映画のパイオニアであり、ハリウッドの映画製作システムの原型を作り上げた世界初の⼥性映画監督。なぜ映画史から忘れ去られていたのか?本作のナレーションを担当するのはアカデミー賞最優秀主演⼥優賞を2度受賞しているジョディー・フォスター。ベン・キングズレーや、アニエス・ヴァルダ、マーティン・スコセッシら映画界の早々たる⾯々や、アリス⾃⾝と彼⼥の親族らへの膨⼤なインタビューと緻密なリサーチ、アリス作品のフッテージの数々によってアリス・ギイの功績とその⽣涯を明らかにする。

ここ最近女性芸術家(作家)再発見のような作品や人物によく当たる。それだけ男性中心主義社会の中で女性は一段下に見られていたのだろう。日本でも詩人の左川ちかや俳句では田上菊舎、そして芥が龍之介と関係があった女性歌人片山広子(松村みね子)。絵画では、スウェーデンの抽象画家ヒルマ・アフ・クリント、フィンランドの国民画家ヘレン・シャルフベック、映画ではハリウッドのキャスティング・ディレクター、マリオン・ドハティのドキュメンタリーが公開された。

そうした一連の流れがあるのは事実なんだけど、アリス・ギイは劇映画の先駆的な人物であるだけに、フランスでもアメリカでも意図的に黙殺したとしか思えない。それもゴーモン社の中で彼女のフィルムが倉庫に隠されていたとか。

そういう映画史を覆す歴史で男性作家の方が当たり前に社会に出て行きやすかったのに、映画の発展に帰依したのだ。なによりもあのエイゼンシュタインが影響を受けていたなんて驚き以外のなにものでもない。『戦艦ポチョムキン』のオデッサの階段のシーンは、彼女がいてこそ撮られたシーンなのだ。

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