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イタリアのデル・トロか?B級映画のデル・トロか?

『フリークスアウト』(2021年/イタリア・ベルギー)監督ガブリエーレ・マイネッティ 出演クラウディオ・サンタマリア,アウロラ・ジョヴィナッツォ,ピエトロ・カステリット,ジャンカルロ・マルティーニ,ジョルジョ・ティラバッシ,フランツ・ロゴフスキ


特殊能力を持つ団員たちが集うサーカス団とナチス・ドイツの戦いを描いた異能力バトルアクション。

第2次世界大戦下のイタリア。ユダヤ人の団長・イスラエルが率いる小さなサーカス団には、光と電気を操る少女、虫使い、多毛症の怪力男、磁石人間の道化師と、その特殊な能力のせいで普通に暮らすことができない団員たちが肩を寄せ合いながら暮らしていた。イタリア国内でもナチス・ドイツの影響が強まる中、戦火を逃がれてサーカス団ごとアメリカへの脱出を考えていた団長のイスラエルが、突然姿を消してしまう。光と電気を操るマティルデは団長探しに奔走するが、怪力男のフルヴィオら3人は仕事を求め、ド派手なパフォーマンスが話題のベルリン・サーカス団の門を叩く。しかし、団長のフランツはナチスを勝利に導く異能力者を探し出し、人体実験を繰り返すという裏の顔を持つ男だった。

監督は、「皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ」のガブリエーレ・マイネッティ。2021年・第78回ベネチア国際映画祭コンペティション部門選出。イタリアのアカデミー賞と呼ばれるダビッド・ディ・ドナテッロ賞でも作品賞ほか16部門にノミネートされ、撮影、美術など6部門を受賞した。

監督のガブリエーレ・マイネッティの映画は、永井豪原作の『皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ』がすごく良かったので期待した。

このデビュー作は衝撃的面白さだった。Amazonprimeでもその他の動画サイトで観られるので観れる人はこの映画はお勧めだ。

ガブリエーレ・マイネッティはイタリアのギレルモ・デル・トロなのか、B級映画のデル・トロという感じがしないでもない。

『フリークスアウト』も面白いのだが、脚本的には穴も多くてよくわからない謎展開もあるが、イタリアの宮崎駿だと思えば面白い。

あとイタリア映画に対するオマージュ。フェリーニ的な道化師的なものとロッセリーニ的な社会批判も合わせて持つ感じなのだが、今回はちょっと欲張り過ぎたかもしれない。デビュー作ほどの衝撃性はなかったが、詰まらないということは無いのは映画レビューサイトの高評価にも伺える。

サーカスに所属するようなフリークスはナチス政権によっても滅ぼされる運命にある人々なのだ。そのリーダーであり父親的存在がサーカス団の団長なのだが、かれもユダヤ人で迫害されつつあるイタリアでアメリカへ亡命を企てるのだが、ナチスに捕まってしまう。

電気を発して人と接触出来ないという特殊能力のある電気娘はそのユダヤ人の団長を父親のように思っているサーカスが疑似家族的つながりであり、そこは親から見捨てられたフリークスの集まりだったのだ。

しかし団長がアメリカに亡命するための金を持ち去ったまま行方不明になり、団員たちは新しくベルリンに大好評のナチスのサーカスに加わろうと試みる。しかし団長はナチス信奉者なので彼等を牢獄へ入れてしまうのだった。

一方ベルリンのサーカス団よりユダヤ人の団長を探そうと説得したが仲間は受け入れられずに孤立した娘はイタリアを彷徨ううちにレジスタンスの一味と知り合うことになり、彼女も加わるように説得される。彼女の電気がナチスどもを殺害する武器になると思ったのだが、彼女は人を殺すことは良しとしない。

そんな中で捉えられたユダヤ人団長と再会して、仲間もナチスに捕らえられていると知って彼女が立ち上がるのだ。

まあ戦闘女子ものの映画だが、前作よりはイマイチかと思ったのは脚本がもう少し練られていたらと思うのだ。アイデアとしては面白いのだが、フリークスたちがもっと協力してアベンジャーズのような戦い方を見せれば面白かったのかもしれない。そこは戦闘もの映画とは一線を画すようなところが根本にあるようなので、今回はそれが裏目に出てような。

レジスタンスの曲「ベラ・チャオ」が印象深い。


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