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葛西善蔵を読む

葛西善蔵(1887年 - 1928年)は「私小説の神様」と呼ばれた大正時代の作家。太宰治と同じ津軽出身ということで、太宰に影響を与えた作家のようだ。太宰治『パウロの混乱』では葛西善蔵をイエス・キリスト、太宰自身をパウロに例えている。デカダンの作家。小説を書くこと以外に働くことが出来ないで酒ばっか飲んでいる。

哀しき父

デビュー作はまだ実験段階のようだ。オノマトペの多用でリズムを作っているのか?自分の姿と父の姿を重ねた私小説か?まだ本領発揮とはいかないようだ。

子をつれて

これは面白い。代表作かな。創作のために家族を犠牲にする父親。世間並みに働くことが出来ないで借金ばかりで借家を追い出される。妻にも逃げられ、それでも居酒屋で酒を飲み、残された子供たちはつまみを食う。一夜を過ごす家もなく彷徨う。友人の家になんとか辿り着くが、いい顔しないので娘が号泣する。悲しすぎる結末。ダメおやじ文学。

贋物

これも面白い。実家に帰ってお宝だという掛け軸などを持ち出し売ろうとする。代々駄目な血筋なのだが、義母という人がけっこうまともなのか、駄目兄を毒虫と呼んでいる。掛け軸もさっぱり売れないで、結局実家に戻るのだが楽天過ぎる作家の男と家族関係を描いた短編。贋物というのは、家族の意味もあるのか?子供を犠牲にしちゃいけないな。あと友人の芳本という作家は太宰のような気がする。

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