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最期のアフリカ象のニュースが流れるのだろうか?

Netflix『アイボリー・ゲーム』(アメリカ/2016)監督リチャード・ラドカニ
/キーフ・デイビッドソン 制作総指揮レオナルド・ディカプリオ


「アイボリー」は象牙のことです。「ゲーム」は戦争というような。象牙の密猟のために絶滅寸前のアフリカ象を守る人々のドキュメンタリー。ほとんど中国向けらしいが、香港ルートとベトナム・ハノイルート。アフリカ象は数十年で絶滅するだろうと言われています。そのぐらいに危機的。犯罪組織はゲリラ的であり、絶滅させることで手持ちの象牙が高くなることを望んでいる。

密猟だけでもなく、その地域に棲む住民とのトラブルもあり。農作物被害で象を害獣としている。現地パトロール隊との交渉の結果、柵をするとか被害額を支援するとかで、かろうじて虐殺を免れる。生活がかかっているから仕方がないかもしれないが、そもそも象が生きられる自然も少なくなっている現状がある。

象牙のためにだけに無残に殺される象は、年々やり方も組織だってゲリラ的になり、武器も強力な銃などが野放しで出回っているという。密猟のボスは「悪魔」と渾名がついているほど。組織だっているので、末端の者は捕まるが、なかなかボスは捕まらない。その捕物帳みたいなドキュメンタリーにもなっている(ドキュメンタリーも物語なんだ)。

それと輸出先である中国市場。金余りでそういう貴重品はどこまでも金を出す。そして、象牙に彫刻したり絵が描かれていたり、装飾品として飾り立てる。中国で象牙輸入禁止令が出されない限り、密猟は減らない。どんな危険な密猟でも稼ぎが言い値で高くなるから止められない。希少品なら、それだけ裏ルートとか闇ルートで象牙が輸入される現実。

最終的には、ボスも捕まって、米中とも輸入禁止令が決議されて目出度しで終わる。それでも闇ルートは減らない。どこにでも買い手がいる限り彼らはますます巧妙になっていく。象牙の美よりも生きている象の貴重さを理解することが需要だ。その結果自然から復讐されるのは人類なのだから。

アフリカ象が絶滅した日のニュース

1番牙が長い象がなくなった時は国際的なニュースになった
それでも最期の象がいつ亡くなったのか僕らは知らない
パンダは注目を浴びてもアフリカ象は密猟される
美しい象牙は金持ちのもの
そう言う人に呪いあれ

そうアフリカ象は叫んでいたのかもしれない
アフリカ象は仲間を呼んでいたのかもしれない
もう仲間なんていなかっただろうけど
最期のアフリカ象の声を聞くものもいなかった
言霊だけが虚しく彷徨う


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