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映画のアイデア満載のフランス映画

『自由を我等に』(1931年/仏)監督ルネ・クレール 出演アンリ・マルシャン、レーモン・コルディ

「自由」を求めた二人の友情と恋の行方

ふたりの脱獄囚のうち、ルイはレコード会社の社長になり、エミールはその工場のベルトコンベアで働くはめに。4年後のチャップリンの『モダン・タイムス』に影響を与えた傑作喜劇。

ルネ・クレールはフランスの映画監督。

<映画の原点を作った4大巨匠の一人>と言われるルネ・クレール。26歳の若さで、写真家マン・レイや画家マルセル・デュシャン、音楽家エリック・サティらとシュールレアリスム短編映画『幕間』(1924)を発表。映像と音楽の大胆なコラボレーションを試み、世界を熱狂させた天才作家だ。

『自由を我等に』に凹凸コンビが繰り広げるドタバタ喜劇をミュージカル風に仕立てたその後のエンタメ映画に影響を与えたような作品。

チャップリンの『モダン・タイムス』に影響を与えたというベルト・コンベアのシーン。ただチャップリンはその中に巻き込まれる人間を描いているので、ただ流れ作業での機械に支配されるのとは違うと思う。アイデアを発展させた形か。

そう云う意味では、後の映画のアイデアが沢山詰まっているような映画だ。喜劇として、凹凸コンビとか髭眼鏡の社長姿は、森繁久弥の『社長シリーズ』を思い出させる。脱獄シーンは、ブレッソン『抵抗』とか。後の監督が意識していたかはわからないがその映像センスは目をみはる。

例えばカバンからお札が一枚一枚飛ぶシーンは伊丹十三『お葬式』を思い出させる。何より音楽が素晴らしい。ミュージカル風というのもあるのだが。そのあたりがフランスお洒落映画の元祖な気がする。

エンタメ映画でありながら社会風刺が際立つ今見ても色褪せない映画だ。モノクロだけど。

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