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短歌の季語、俳句の季語

『短歌 2023年3月号』

【連載カラーグラビア】
傑士の後姿…春日真木子
野に咲く花のやうに…狩峰隆希 選
【巻頭コラム】うたの名言…佐佐木幸綱
【巻頭作品28首】高野公彦・伊藤一彦・今野寿美・梅内美華子
【巻頭作品10首】井川京子・久保田 登・紀野 恵・奥田亡羊・松本典子
【大特集】なぜ短歌には季語がないのか
総論「短歌にとっての季語」…喜多昭夫
各論「季節を感じる名歌」…馬場昭徳・平山繁美・田中 槐・阿波野巧也・花山多佳子・岩内敏行
春の歌五首…楠田立身・押切寛子・造酒廣秋・上野春子・清水正人・松山紀子・松下菜水・阿部真太郎・阿波野巧也
特別対談「相乗する創作価値」
野口あや子×立花 開
共同連作「九龍の夢」

【作品12首】遠役らく子・平田利栄・磯田ひさ子・木畑紀子・後藤恵市・小塩卓哉・笹 公人・田村 元
【作品7首】中村 達・鶴見典子・河田育子・大津仁昭・社領美穂・飯田有子・滝本賢太郎・山木礼子
【連載】
家族の歌…カン・ハンナ
フリージアの記…水原紫苑
挽歌の華…道浦母都子
かなしみの歌びとたち…坂井修一
ぼくは散文が書けない…山田航
啄木ごっこ…松村正直
【連載エッセイ】
歌人解剖 〇〇がスゴい!…井谷まさみち
うたよみの水源――現代短歌の先駆者を辿る…川口慈子
一葉の記憶 ―私の公募短歌館―…鍋島恵子
短歌の底荷…湖笛・塔
嗜好品のささやき…金子貞雄
【歌壇時評・月評・歌集歌書を読む・書評】
【投稿】
角川歌壇…長澤ちづ・塚本 諄・井辻朱美・大辻隆弘選
題詠…草田照子 選
令和六年宮中歌会始詠進要領
第69回角川短歌賞応募規定
歌壇掲示板
読者の声
編集後記

【大特集】なぜ短歌には季語がないのか


これは短歌に季語がないわけではなく、俳句の季題とは違って季語を立てる必要もないということで季節を読んでいる歌は「万葉」の和歌から数多くある。『古今集』や『新古今集』などは四季で分けられて和歌が詠まれている。

俳句では季語は挨拶や己自身よりも対象としての花鳥諷詠を詠むものだから、季語が季題として扱うことによって共感性を得る。短歌は逆に個人を詠む(そうでない場合もあるが作中主体といわれるように、主に人が主体となる)ので季語は述語的に語られる。それを「本意」とか「本情」とか言うようだ。

春の日麒麟のやうな山のかげに僕の生まれた村が見える  中野嘉一

「春の日」の本意は「春のうららかな明るい光の日中」という意味が「麒麟のやうな」と明るい生を持つ比喩で語られる。

また俳句は音数が十七音のため細部までは表現できないので季語の力を借りて共感性を得る。

また、𠮷田竜宇「有季定型という約束」では 俳句と短歌の季語の違いとして比較して上げているので参考になる。

ゆふされば大根の葉にふる時雨いたく寂しく降りにけるかも  斎藤茂吉

流れ行く大根の葉の早さかな  高浜虚子

共同連作「九龍の夢」

は、連歌スタイルで物語のように短歌を連ねていくのだが、一首づつ交互でもなく二首だったり三首だったりするのは、それぞれの世界観を明確にできるからかなのか?ただ二人の作風はなんとなく似ているので火花散らすという感じではなく、まあ恋歌なんで、そうなのかなと思うが異性愛ではなく、同性愛的だろうか?

連載「かなしみの歌びとたち…坂井修一」

中城ふみ子だが『乳房喪失』が「短歌研究」の編集者であった中井英夫の意向が大きく影響して、スキャンダラスに詠まれているが、中城ふみ子の本来の短歌の形は「花の原型」のような冷静な客観的叙情性にあるとする。与謝野晶子の劇場型から岡本かの子の母性愛というような。

でもスキャンダラスなふみ子の方が好きだな。


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