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演劇的な家族映画、『北風アウトサイダー』

『北風アウトサイダー』(2021/日本)監督:崔哲浩 出演崔哲浩/櫂作真帆/伊藤航上/田和光/浦川奈津子/遠藤綱幸

解説/あらすじ
大阪府生野にある在日朝鮮人の町。みんなの母代わりであるオモニの葬儀が行われていた。15年前に失踪した長男・ヨンギはそこに現れない。オモニが始めた店の借金に追われ、ヨンギを除く3兄妹たちは途方に暮れる。そんな中、ヨンギが帰ってくる。変わり果てた長男に困惑する兄妹たち。家族とは…。様々な人の想いがすれ違うなかで、大きな愛によって、はたして家族の絆は取り戻せるのか。

いい意味で昭和の映画のようだった。家族の絆がテーマなんで、そう思えたのかな。オープニングが葬式でラストが結婚式(と出産)。脚本もよく出来ている。

通常の家族懐かしという作品ではなく、在日のオモニ(母親)を中心とする家族関係があり、そのオモニが亡くなってしまった中で再び絆を取り戻そうとする。

その中に韓国と朝鮮と日本のヤクザの関係、ただ外部の複雑な社会状況は家族ということで乗り越えていくものとして描かれている。そこには民族性は関係ないのだ。それはラストの結婚式の歌と踊りのシーンにある。監督が演劇出身の人で、こういうところは演劇的な映画と言える。

ただ外部の状況がわかりにくかったところもある。娘が結局どうしたのか(朝鮮大学か日本の大学か悩んでいた)?そこは宿題にしたのか。そこが一番知りたいところだった。でも韓国に向かう船の中では娘は家族に馴染んでいたから解決したのだろう。そこは想像するしかなかった。

舞台挨拶でも映画制作そのもののが家族的なものを感じた。ちょっと今までにない舞台挨拶だったような。役者が監督やったり小道具やったりカメラ助手していたり手作り感。それでいて映画の内容は濃かった。それはやっぱ演劇をやっていたからなのか?ライブ感があるというか、演劇的なセリフのようなところも感じられたのだが、セリフのやり取りとかお笑い的な要素が感じられた。


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