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ゲイリー・クーパーはルビッチのおちょくられ役だったのか?

『青髭八人目の妻』(1938)監督エルンスト・ルビッチ 出演クローデット・コルベール/ゲイリー・クーパー/デヴィッド・ニーヴン/エドワード・エヴェレット・ホートン/エリザベス・パターソン/ハーマン・ビング

「パリで逢った彼」「二国旗の下」のクローデット・コルベールと「マルコ・ポーロの冒険」「平原児」のゲイリー・クーパーなどが主演する映画で、「生活の設計」「メリイ・ウイドウ(1934)」のエルンスト・ルビッチが監督・製作したもの。アルフレッド・サヴォア作の喜劇をチャールトン・アンドルウスが英訳した翻案戯曲により、「ジャングルの女王」「女罠」のチャールズ・ブラケットと「シャムパン・ワルツ」「空飛ぶ音楽」のビリー・ワイルダーが協力して脚本を書いている。助演者は「メリイ・ウイドウ(1934)」「生活の設計」のエドワード・エヴァレット・ホートン、「孔雀夫人(1936)」のデイヴィッド・ニーヴン、「たくましき男」のエリザベス・パターソン、「シャムパン・ワルツ」のハーマン・ビングその他で、撮影 は「巴里で逢った彼」のレオ・トーヴァーの担任である。

「青髭」はフランス革命のジル・ド・レをペローが童話化した『あおひげ』のパロディ。アメリカ人(ゲイリー・クーパー)にしたことで、ルビッチのアメリカ観が伺える。経済至上(金権)主義者で教養には無知な男がヨーロッパの貴族の娘と結婚する。ビリー・ワイルダーが脚本に加わっているので、セリフはワイルダーだという。

貴族の娘にやり込められる話だが、その娘の扱いにシェークスピア『じゃじゃ馬ならし』を読んだりして失敗する。最初にルイ14世のバスタブとか出てきて、それを金で買い取るが使用中に割ってしまう。アメリカ人には価値はわからないし、実用的ではなかったのだ。ルビッチはアメリカの男性優位な社会を逆転させた。

クローデット・コルベールは、『陽気な中尉さん』にも出ていた。『或る夜の出来事』のアカデミー主演女優賞だから当時の人気のスターだったのだろう。コメディ色が強い感じだが、どうなんだろう(演技力か)?

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