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短歌レッスン31

写真は映画『DEAD OR ZOMBIE ゾンビが発生しようとも、ボクたちは自己評価を変えない』のゾンビ人形。この映画も観たいのだがレイトだから寝ちゃうのじゃないかと。ホラーなのに。

真面目に短歌に専念しよう。

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銭湯の絵がなかった。地獄の壁の絵の山は、富士山が噴火しているイメージだと思いますが、よくわかりません。異次元の世界を歌うのが寺山短歌なので。

模範短歌10首は今日も穂村弘『シンジケート』から。「こわれもの」の章。

月よりも苦しき予感ふいに満ち踊り場にとり落とす鍵束
血まみれのチューインガムよアスファルトに凍れし神父も叫ぶこの夜
百億のメタルのバニーいっせいに微笑む夜をひとりの遷都
脱走兵鉄条網にからまってむかえる朝の自慰はばら色
目を醒ませ 遠くラグーンに傷ついた人魚にとどめを刺しにゆくため
雄の光・雌の光がやりまくる赤道直下鮫抱きしめろ
卵産む海亀の背に飛び乗って手榴弾のピン抜けば朝焼け
みずあびの鳥をみている洗脳につぐ洗脳の果のある朝
爪だけの指輪のような七月を眠る天使はひき肉になれ
こきゅうする色の不思議をみていたら「火よ」と貴方はおしえてくれる

一番最初の短歌は、葛原妙子の短歌の返しですね。

硝子戸に鍵のかけてゐるふとむなし月の夜硝子に鍵かけること  葛原妙子

虚構の世界観で映画の影響ですかね。脱走兵の短歌は、『大脱走』のマックイーンを連想しました。海亀の短歌は、格好いいですが映画の短歌だとすれば『気狂いピエロ』ですかね。映画から短歌というのを前々から考えていたのです。

そう言えば最近の映画のタイトルが説明的で長くなったと。そこまで説明しなければ客がはいってくれないのだそうです。『DEAD OR ZOMBIE ゾンビが発生しようとも、ボクたちは自己評価を変えない』は、後半が短歌でいう下の句なんですね。自己評価を変えない。難しいですね。どんまいを喰らった夜には。

無視されてゾンビになれば注目か自己評価揺らぐどんまいの夜

素直に詠んでみました。

それでは今日もめげずに「うたの日」の課題に挑戦。

「襟」
詰め襟の汚れたカラーで首を絞め洗脳されし制服好きに

最後が字足らずになるのだ。その改善をしなければ。

(改)詰め襟の汚れたカラーで首を絞め洗脳されし制服おたく

「無駄」
どんまいがこれだけ続くと無駄なのかと思わぬ日がないのだけれど

弱気。ポジティブ短歌が出来ないな。

「交」
信号は青でも渡れぬ交差点行き交う人とぶつかりながら

渋谷交差点ですね。もうひと工夫欲しい。

改)人混みで青でも渡れぬ交差点すり抜けるのは至難の技だ

「ファン」
興奮しトイレットペーパー置き忘れアウェーの負け組尻(けつ)拭くな

これか?昨日Twitterで見た書き込みから連想して。

「縞」
流行のボーダー着ても脱獄犯逃げたふりしたら警官が追いかける

そんなことはない。彼女プレゼントにすればいいのかも

改)流行のボーダーシャツはプレゼントきみは距離取る脱獄犯から

ちょっと苦しいか?ネガティブ短歌ばかりだな。

改)流行のボーダーシャツのプレゼント脱獄犯でもきみは腕組む

「好きなたばこ」
ジャン・ギャバン ジタンを破ぶり吸う姿真似して煙草は溝に落とす

ジタンのパッケージデザインが好きだ。

改)ジャン・ギャバン ジタンを破ぶり吸う姿真似して教師に見つかり停学処分

もうひとつだ。

「吹」
吹き出しの文字数多く漫画よりアニメするまで待つきみは

いまいち。吹き出しがいまいちなのか?

「ブラック・ジャック」
変態の虫を治療する先生はピノコを連れて扉を開けた

「ブラック・ジャック」はそれほど読まなかったからいまいちイメージがわかない。

「量」
レンチンで計量正しく晩ごはんお袋の味より美味かった

今日の実感。

面白いのは「ファン」かな。

穂村弘『ぼくの短歌ノート』暗示のテクニック。

改)ジタン吸いくわえ煙草に顔しかめ 空箱潰しジャン・ギャバンの頃

の頃が大きく字余りだが、成りきれなかった者の可笑しみ。

「襟」トップ短歌

胸襟をひらいたような譜面台あさのひかりを受けて立ちたり

この人プロでした。「胸襟を開いたような」が上手い。比喩でした「譜面台」に係る。「あさのひかり」を受けて「立ちたり」「胸襟をひらいた」から「立ちたり」まで読み下していく短歌だけど、「襟」が主題でなく比喩になっているよな。それでいいのか?

「無駄」

うつくしい越境 きみは無駄のないフォームでドアをすり抜けてきた

「うつくしい越境」は何を言っているのかわからない。「ドアをすり抜けてきた」きみなんだろうな。俳句では循環する句はいいというな。「無駄のないフォーム」も抽象的だけど、ファンタジー短歌。アニメのスローモーションのワンカットみたいな。

イヤフォンを強く押し込み僕だけが信じる神と交信をする

音楽聴くだけなら「交信」ではなく「受信」なんだけど、「交信」したことで神との交流を描いているのか?ちょっと大げさな感じがしたので選ばなかったのだが、そういう神は誰にもいるということで支持が高かったのか?

「ファン」

少しずつあなたに嘘をついていくファンデーションを塗る自然さで

「ファン」というお題を「ファンデーション」にしたのがいいのかな。まあファンデーションしないと支持されないということなのかもしれない。剥き出しの素顔では駄目なんだ。あくまでも自然さという「ファンデーション」が共感を得るという。

そして今日も「どんまい」でした。わたしみたいな短歌は絶対支持されない壁のようなものを感じてしまう。「ファンデーション」塗ろうかしら?

「縞」

肌寒くなった深夜のコンビニでレジと会話をするバーコード

これは発想の勝利か?「バーコード」と出した時点で「勝利」だと言えるが、前半の「肌寒くなった深夜のコンビニ」が共感度が高いのだと思う。「バーコード」でオヤジの禿頭としたら駄目なんです。笑いより哀愁。これだな。

「煙草」

月さえもまぶしい夜はキャスターの煙を雲に追加している

だいたい「煙草」というお題が謎だ。銘柄はなんでもよくそれを使った短歌ということなのか。

女での在り方も知らず聴くロックGITANESのゆるさだけのエロティック

ジタンの人がいた。でもロックなんだよな。フランスだからシャンソンかジャズだろう?でも、これは読みようによっては女の在り方を馬鹿にしているようにも読める。しとやかでいろということじゃないのか?

穂村弘路線も駄目だな。後期穂村弘にしなければ。穂村弘がかわっていくのもわかった。爆弾を作るようなテロリストは必要ないのだ。保守化の流れ。そういえばここ5年でアウトロータイプには憧れないという若者が増えたという。


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