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銃社会への警告映画

『ニトラム』(オーストラリア/2021)監督ジャスティン・カーゼル 出演ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ/ジュディ・デイヴィス/エッシー・デイヴィス/ショーン・キーナン


解説/あらすじ
1996年4月28日日曜日、オーストラリアの世界遺産でもある観光地ポート・アーサー流刑場跡で起こった無差別銃乱射事件の犯人を描いた初の映画作品。コロンバイン高校銃乱射事件の3年前に起こり、2倍以上の死者数を出した通称「ポート・アーサー事件」は、銃規制の必要性を全世界に問いかける先駆けとなり、さらに当時27歳の単独犯の思想的動機が不明瞭であることも拍車をかけ、新たなテロリズムの恐怖に各国が騒然となった象徴的な出来事として、今なお議論が絶えない歴史的な事件である。本作が描くのは、事件当日に至るまでの犯人の<日常>と<生活>。観光しか主な産業がない閉塞したコミュニティに暮らす20代半ばの青年が、いかにして同国史上最多の被害者を出した銃乱射事件の犯人となったのか。何より「普通」の人生を求めていた彼が、なぜ銃を求め、いかに入手し、犯行に至ったのか。その不可解な半生が、破格の臨場感と緊張感で描かれている。

オーストラリア無差別銃乱射事件の犯人の事件までの映画。感情をセーブ出来ない性格で興奮すると突飛な行動を起こしてしまう。彼は悪気はないのだが、孤立化して注目を浴びたいような性格。緊張状態にさらされるとそれを爆発させて興奮状態になる。まあ花火のような性格なのだが、そういう人に銃を売ったらそういう事件も起きるよな。これがアメリカではなくオーストラリアだったという銃を撃つ環境が整っている場所だった。

前半に元女優か何かの女性と友達になるシーンがいい。彼に対して唯一理解を示す他者。母親と対極の人。動物好きなのが良かったのか?犬も緊張状態だと吠えてしまうというかそういう性格なんだろう。恋愛感情よりも、爪弾き者同士の共感のように思えた。孤立して馬鹿にされている。

母親が厳しすぎる面もあるのかもしれない。父親が弱く母親が強い家庭だ。一番の原因は銃を売ってしまう店が問題なんだろう。許可証もなく金を出せば売るという経済市場主義社会。アメリカの一連の事件に対しての映画でもある。銃を持っていれば使いたくなるのは当然なんだろう。考えさせる映画でした。

映画はドキュメンタリータッチで淡々とある青年の日々を映し出す。そこに感情移入したくはなるけれど。

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