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タイトルが良くない

『ザ・ユナイテッド・ステイツ VS ビリー・ホリデイ』(アメリカ/2021)監督リー・ダニエルズ 出演アンドラ・デイ/トレヴァンテ・ローズ/ギャレット・ヘドランド/ナターシャ・リオン/ミス・ローレンス/ロブ・モーガン

解説/あらすじ
「ビリー・ホリデイを止めろ! 彼女の歌声が人々を惑わせる」。1940 年代、人種差別の撤廃を求める人々が、国に立ち向かった公民権運動の黎明期。アメリカ合衆国政府から、反乱の芽を叩きつぶすよう命じられた FBI は、絶大なる人気を誇る黒人ジャズシンガー、ビリー・ホリデイにターゲットを絞る。大ヒット曲「奇妙な果実」が運動を扇動すると危険視し、黒人の捜査官ジミー・フレッチャーをおとり捜査に送りこんだのだ。だが、逆境に立てば立つほど、ビリーの圧巻のステージパフォーマンスは輝きを増し、肌の色や身分の違いを越えて全ての人を魅了する。やがてジミーも彼女に心酔し始めた頃、FBI が仕掛けた罠、そしてその先に待つ陰謀とは──?

タイトルだとビリー・ホリデイが全面的に国家と戦ったような映画を想像するかもしれないが、「奇妙な果実」は1エピソードにしかすぎない。ストーリーはやはり「ビリー・ホリデイ物語」なんだよな。そこらへんがいまいち曖昧な感じを受けた。

タイトル通りにするなら人種差別をもう少し掘り下げてもらいたかった。例えばビリー・ホリデイが黒人にしては色が薄いから黒人と一緒にジャズをやるために黒く塗ったとか。社会的な動きも全然なかった。まあ、公民権運動はずっと後だけど詩を書いた人とビリーとの出会いとか。「奇妙な果実」を歌うまでのストーリーを膨らますとか。

以前観たドキュメンタリーの出来が良かっただけに、男運が悪いのももう少し丁寧に描いて欲しかった。

涙腺が崩壊しそうになったのはビリーが10歳でレイプされて、それで麻薬に逃避したのをビリーを捕まえた黒人刑事が彼女の薬物中毒の原因を知るシーン。そういう映画の方が良かったかな。ジャズ・ミュージシャンと麻薬はありきたりのテーマだけど。あとその黒人刑事とのラブ・ロマンスでもあるのだが、そこもわかりにくい。ビリー・ホリデイが麻薬依存症なのもそうなのだが、セックス依存症みたいな悪い男にすぐに恋に落ちてしまうところもいまいちわかりにくい。

もっと歌を聴きたかったとうのは贅沢かな。アンドラ・デイは顔は似てないが歌を歌わせるといい。正直もっと歌を聴きたかった。



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