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神は刑務所内も支配する

『預言者』(2009/ フランス・イタリア)監督ジャック・オーディアール 出演タヒール・ラヒムニエル・アレストリュプアデル・ペンシュリフ

解説/あらすじ
無学で身寄りのない19歳のアラブ系青年・マリク(タヒール・ラヒム)は、6年の判決を受け刑務所に送られてしまう。ある日、マリクは最大勢力のコルシカ・マフィアのボス、セザール(ニエル・アレストリュプ)に殺しを依頼される。苦悩の末“任務”を果たすことに成功したマリクは、生き残るための術を“学び”始める…。

coco映画レビュアー

この世界は檻のない刑務所だとよく言われるが、実際の刑務所内に蔓延る悪の姿をリアルに伝えている。刑務所で実効支配するマフィアのボス(イタリア・コルシカ系)と対立するアラブ系の間でマリクは、刑務所内の法を学んでいく。

「預言者」とは刑務所ないでも思い通りに出来る権力のことなのだろうか?マフィアのボスは刑務所内で何でも手に入れ、犯罪を犯す社会を牛耳っていた。その使い走りに指名されたマリクがそのボスを見ながらいつしか刑務所内の権力について学んでいく。

カンヌ映画祭グランプリだけあって見ごたえがある暗黒街映画。『ゴッドファーザー』を連想させる。刑務所内だが、ボスは看守や弁護士までも自由に出来る。刑務所内の殺人も思いのままというような。

最初は仲間を作らずに一人で過ごしていたのだが、マフィアのボスに目を付けられて殺人を犯してしまう。それからボスの小間使として生きていくことになるのだが、いつしかそんなボスに対してもわだかまりを持つようになっていく。刑務所内の勢力争い。最初はイタリア系マフィアが強かったのだが次第にアラブ系が多く入獄してくるようになって、それをマリクは利用するのだった。もともと彼はアラブ系のようだった。

刑務所内にいて外の世界にも影響を与えてるのはマフィアの幹部だからなのだが、そのボスが外の世界にいて刑務所のボスと繋がっているので何でも出来るわけだった。犯罪組織というのはそういうものかもしれない。フィリピン(マニラ)とかそういう話を聞いたことがあった。それは宗教的繋がりが強くあるのだろう。『ゴッドファーザー』もカトリックと繋がっていた。

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