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女優ジェシカ・ラングに注目してしまった

『探偵マーロウ』(2022/アメリカ・アイルランド・フランス)監督ニール・ジョーダン 出演リーアム・ニーソンダイアン・クルーガージェシカ・ラングアドウェール・ア/ ノエ=アグバエダニー・ヒューストン/アラン・カミング


あらすじ
アメリカ・ロサンゼルスに事務所を構える探偵フィリップ・マーロウ(リーアム・ニーソン)を訪ねてきたのは、見るからに裕福そうなブロンドの美女クレア(ダイアン・クルーガー)。「突然姿を消したかつての愛人を探してほしい」依頼を引き受けたマーロウだったが、映画業界で働いていたというその男はひき逃げ事故で殺されていた…!?捜査を進めるにつれ謎が深まる”ハリウッドの闇”――探偵マーロウが辿り着く真実や如何に。

フィリップ・マーロウと言えば『長いお別れ』で映画化されたハードボイルド映画の傑作と『ロング・グッドバイがあったが、そのイメージからすると年老いたマーロウでイメージが全然違う。

それは昨今のフェミニズムの流れにあるハリウッド・スキャンダルも脚本に絡めているからであろう。すでにこの映画は原作をかけ離れていて、パロディと言っていいかもしれない。

なんせ年老いたマーロウにハードボイルを期待するのが無理な話で、幻想化された超人探偵ではなく人間的に老いを重ねたマーロウだったのだ。この手の映画はジェラール・ドパルデューがメグレ警視を演じた『メグレと若い女の死』があったがこれはミステリー映画(推理小説)だったので、老体も推理でカバー出来ていたのだ。

ただこの映画ではどうだろう?ハリウッド・スキャンダルばかりがスポット・ライトを浴びて探偵マーロウはタジタジという感じである。まず女に手を出さない(出さないのではなく出せないのか?)。結構誘われたりするのだが、その老体故か?スキャンダルに臆病になっているのか?これがマーロウ?かと思う。犯罪者と戦っても弱いのである。それは老いのせいで仕方がないのだが、幻滅である。

リーアム・ニーソンの演技が悪いわけでもなく脚本がそうなのだから仕方がないのだろう。なんせ年老いた「探偵マーロウ」なのだから。黒人の運転手の助っ人が無ければ悪と戦えないマーロウも時代の流れだろうか?そんなマーロウ幻想をぶち壊してくれる映画としては素晴らしいのかも。

面白いのは懐かしの女優としてジェシカ・ラングが老いを晒していたことだ。ジェシカ・ラングと言えば『キングコング』で一躍ヒロインとしてスター女優になった人である。なんかジェシカ・ラングをハリウッド・スキャンダルと重ねてしまうのは、そういう演出なのか?イメージとしてはのジェシカ・ラングはサム・シェパードの恋人として「いい男」「いい女」のイメージそのものだったのだが。ここで老いを晒すのも女優魂と言えばいいのか、彼女は演出を超えて役として全うしている感じである。

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