仕立て屋のメグレという感じか?
『メグレと若い女の死』(2022年/フランス)監督・脚本:パトリス・ルコント 出演:ジェラール・ドパルデュー、ジャド・ラベスト、メラニー・ベルニエ、オーロール・クレマン
ルコントのメグレ警視は推理映画というより文芸映画という感じ。文芸推理映画とはならなかったな。映画だからそれは仕方がないのかもしれない。あまり複雑なストーリーにすると観客がついていけない。
メグレの娘を想う父親像と犯人の息子を想う母親像との対比というドラマだった。セーヌ川の死体の捜索から始めたメグレは、娘が亡くなっていた。それはセーヌ川を連想させるというかオルフェウスの冥界下りなのだ。オルフェウスじゃないな。オデッセイアの神話と繋がっている。犯罪がセイレーンの人魚の沈黙を連想させるというように文芸的な脚本だった。
ホームレスの娘をおとり捜査にしている時代だから現代ではないような。モノクロ映画を見ていたから無声映画の時代かな。そんな趣の映像はダークな色調。ルコント『仕立て屋の恋』を再現させたような。『髪結いの亭主』の方ではなかった。ルコントだと『髪結いの亭主』の方が好きなのだが。
見所は年老いたジェラール・ドパルデュー演じるメグレ警視だろうか?太ったな。階段を上がるのも大変そう。そうだ階段のシーンが多かった。パリの街並みだったり建物だったり。古き良きパリという感じだろうか?
背景には階級差があるのだった。裕福な階層と貧しい階級の人々。そういう人々をリアルに描いていていた。
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