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仕立て屋のメグレという感じか?

『メグレと若い女の死』(2022年/フランス)監督・脚本:パトリス・ルコント 出演:ジェラール・ドパルデュー、ジャド・ラベスト、メラニー・ベルニエ、オーロール・クレマン

解説/あらすじ
1953 年のパリ。ある日モンマルトルのヴァンティミーユ広場で、シルクのイブニングドレスを着た若い女性の刺殺体が発見される。血で真っ赤に染まったドレスには 5 か所もの執拗な刺し傷。この事件の捜査を依頼されたメグレ警視は、死体を見ただけで複雑な事件になる予感がするのだった……。死体のそばに持ち物類は何もなく、事件を目撃した人もいない。彼女が誰なのか、どんな女性だったのかを知る人もいない。そんな状況で、若い女性には不釣り合いなほど高級なドレスが彼女を特定する唯一の手がかりに。メグレ警視は捜査を進めていくうちに、身元不明の彼女がどうして殺されなくてはいけなかったのか、彼女
はどんな人生を送ってきたのかを探っていく。この事件に異常にのめり込んでいくメグレ警視。何が彼をこれほどまでに駆り立てるのか……。

coco映画レビュアー

ルコントのメグレ警視は推理映画というより文芸映画という感じ。文芸推理映画とはならなかったな。映画だからそれは仕方がないのかもしれない。あまり複雑なストーリーにすると観客がついていけない。

メグレの娘を想う父親像と犯人の息子を想う母親像との対比というドラマだった。セーヌ川の死体の捜索から始めたメグレは、娘が亡くなっていた。それはセーヌ川を連想させるというかオルフェウスの冥界下りなのだ。オルフェウスじゃないな。オデッセイアの神話と繋がっている。犯罪がセイレーンの人魚の沈黙を連想させるというように文芸的な脚本だった。

ホームレスの娘をおとり捜査にしている時代だから現代ではないような。モノクロ映画を見ていたから無声映画の時代かな。そんな趣の映像はダークな色調。ルコント『仕立て屋の恋』を再現させたような。『髪結いの亭主』の方ではなかった。ルコントだと『髪結いの亭主』の方が好きなのだが。

見所は年老いたジェラール・ドパルデュー演じるメグレ警視だろうか?太ったな。階段を上がるのも大変そう。そうだ階段のシーンが多かった。パリの街並みだったり建物だったり。古き良きパリという感じだろうか?

背景には階級差があるのだった。裕福な階層と貧しい階級の人々。そういう人々をリアルに描いていていた。

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