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踊っているつもりでも踊らされているTikTok

『TikTok 。世界で最も人気のあるアプリ』(AmazonPrimeVideo/ドキュメンタリー)

TikTokは、Z世代のイメージを決定づけるソーシャルメディアアプリであり、コビド時代の時代精神にしっかりと根付いています。驚異的な人気を誇るプラットフォームで、10億人以上のユーザーがその無限のフィールドをスクロールし、普通の人々を一夜にしてスターにしました。

TikTokを知ったのはTwitterで某書評家のTweetが炎上して、叩かれまくっていたその後、その書評家は謝罪。なんかそのTweetを見て、けっこう注目して読んでいた(見ていた)書評家だったので、TikTokをよく知らないで、そもそもそのログも後追いで、ついお節介にも介入してしまった、今は反省している。

Twitterもそうなんだけど炎上すると一斉に叩きにくる輩がいて炎上する。私的な意見も言えない世界に危機感を覚える。Twitterは、ほんらい「つぶやき」ぐらいの意味だったのに、いつの間にか公的な発言(政治答弁?)とされてしまうのだ。それは私的なことを語る文学とはあまりにもかけ離れたことだった。

TikTok派の意見は、読者数が減っているので、そういうメディアの力を借りても読者増になれば、出版社も作家も良かろうというものだ。それは正論なのだが、TikTokで読書好きを広めるのと文学を語る書評家が一言、意見を一致させるのは議論にならないのだ。これは、文学についての問題提起だと思った。

文学論議は昔はけっこう文芸誌でもあった。有名なところでは谷崎・芥川論争。そうやって、文学が発展していったのは事実だ。一般論で少数意見が潰され、同調圧力の中での危険性は、多数意見が正論のように振る舞う。そうしたものにSNSは染まっていく。

まあ、TikTokのことも何も知らないで、アメリカ企業であるAmazonが中国企業を叩きたいと思ったのだ。ちなみに、この作品はオーストリア発であるような。

多数によるアルゴリズムが正義というような論理、それはSNSと相性がいい。今更のことのように思う。それは管理する側の検閲が行われて、例えば少数意見は排除されるとか、ルッキズムによって仕分けされるとか、そうした問題点。ただTikTokのヤバさは中毒的。短いショートフィルムが次々にランダムのように観られるから。ユーチューブも病みつきになるがそれ以上だと感じた。

それはTikTokだけじゃなく、Twitterでもそうなんだがフォロワー数がマーケティングで重要視されるシステムとなっている。このnoteもそうだけど、それにより絶えず「いいね」を気にして体制寄りになる。つまり少数意見は知らず排除されていく。これは、とても重要なことで同調的に踊らされていると本人たちが気がつかぬまま踊っている。異なるリズムや声は排除される。

さらに企業側として、問題ある人物の傾向をターゲットして排除していくこと。障害者であったりBLMだったり。中国ではチベットのウィグル族関連動画を排除したとか。あと個人情報の漏洩問題(これはTikTokだけじゃなく、日本だとしょっちゅうあるみたいだが)。

最後に若者の人気があることで、それで高額所得を受けたり企業の言いなりに働かされていたり、あるいは誤った情報が広まってもそれを事実だと信じてしまったり。まあ、このへんはTikTokに限ったことではなくて、今の時代は稼いでなんぼ、フォロワー増やしてなんぼ、みたいな世界だから。


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