雅楽がバロック管弦楽になる「源氏物語」
『源氏物語 A・ウェイリー版1』紫式部 (著),アーサー・ウェイリー(翻訳),毬矢 まりえ(翻訳),森山恵(翻訳)
分厚い豪華本の表紙がなによりもクリムトの絵というのがセンスがある装幀だ。そしてアーサー・ウェイリーの翻訳は『源氏物語』をも西欧の神話的愛の物語にした。橋本治『窯変 源氏物語』と同時進行で読んでいるのだが、人物像は橋本治のほうが面白いとしても、絢爛豪華な宮廷の儀式は邦楽がバロック管弦楽になったような夢心地なのである。
『紅葉賀』が「紅葉フェスティバル」になると