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源氏物語

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源氏物語の感想など。与謝野晶子訳Kindleから。
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#源氏物語

ともづな(家)に繋がれる欲望

『新源氏物語 霧ふかき宇治の恋(上)』田辺聖子 (新潮文庫) 大君がそこまで薫を拒絶するのは…

やどかり
1か月前
8

「世界文学」から「現代文学」への『源氏物語』

『源氏物語―A.ウェイリー版〈3〉』毬矢まりえ+森山恵姉妹(日本語訳) 『雲隠』の帖が削…

やどかり
1か月前
17

ダース・ベイダーとしての光源氏の老いの世界は喜劇となっていく

『窯変源氏物語〈7〉胡蝶螢常夏篝火野分行幸藤袴 』橋本治(中公文庫) 玉鬘十帖のうちの7話。…

やどかり
1か月前
6

『源氏物語』の「もののけ」は当然の感情である。

『源氏物語 A・ウェイリー版2』紫式部 ,アーサー・ウェイリー(翻訳),毬矢 まりえ(翻訳),森山恵…

やどかり
2か月前
16

窯変は男たちの「源氏物語」

『窯変 源氏物語〈4〉 花散里 須磨 明石 澪標 』橋本治(中公文庫) 須磨 葵の母の大宮と弘徽…

やどかり
3か月前
21

もののけと無常観の「源氏物語」

『新源氏物語(下)』田辺聖子 (新潮文庫) 他の方のレビューもある通り一番読みやすい(漫画は…

やどかり
3か月前
19

雅楽がバロック管弦楽になる「源氏物語」

『源氏物語 A・ウェイリー版1』紫式部 (著),アーサー・ウェイリー(翻訳),毬矢 まりえ(翻訳),森山恵(翻訳) 分厚い豪華本の表紙がなによりもクリムトの絵というのがセンスがある装幀だ。そしてアーサー・ウェイリーの翻訳は『源氏物語』をも西欧の神話的愛の物語にした。橋本治『窯変 源氏物語』と同時進行で読んでいるのだが、人物像は橋本治のほうが面白いとしても、絢爛豪華な宮廷の儀式は邦楽がバロック管弦楽になったような夢心地なのである。 『紅葉賀』が「紅葉フェスティバル」になると

近江の君のスピンオフ・ドラマが観たい

『新源氏物語〔中〕』田辺聖子(新潮文庫) 須磨から帰還した光源氏は、さらに大きく成長して…

やどかり
3か月前
10

ダースベイダーとしての光源氏

『窯変 源氏物語〈2〉 若紫 末摘花紅葉賀』橋本治 天皇が太陽ならば光源氏は月。さらにその天…

やどかり
4か月前
16

「窯変 源氏物語」はジャニタレ源氏か?

『窯変 源氏物語 1』橋本治(中央公論) 『源氏物語』は二回目なので、最初はウェイリー版…

やどかり
4か月前
17

終わらない『源氏物語』、夢の続きは

『源氏物語 下 』(翻訳)角田光代(池澤夏樹=個人編集 日本文学全集06) 感想 光源氏が亡くな…

やどかり
1年前
5

現実の枕落とし

『源氏物語 56 夢の浮橋』(翻訳)与謝野晶子(Kindle版) 最後はあっけない幕切れ。まあこれ…

やどかり
1年前
4

浮舟、寂聴さんになる

『源氏物語 55 手習 』(翻訳)与謝野晶子(Kindle版) 浮舟が生きていたとは出来すぎ。小説…

やどかり
1年前
6

人形(ひとがた)としての浮舟

『源氏物語 53 浮舟』(翻訳)与謝野晶子( Kindle版) 52帖の『東屋』で重要なことを書き忘れていたのだが薫は浮舟を人形(ひとがた)と言っているのは、大君のである。人形とは、亡き人の魂を供養するために精霊流しする人形である。宇治の屋敷を八の宮や大君の供養する本尊に改装しようとしていたのである。そこに人形である浮舟を連れて行ったのだ。そして、宇治に行くには川を上っていかねばならなかった。 浮舟の入水するのはすでに『東屋』で伏線として用意されていたのだ。ちなみに私は浮