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さらば、マイ臓器 #2

左卵巣摘出手術、手術室入室から術後のお話です。
前回までのお話はこちら。

手術室で流れていた大音量の中島みゆき。
圧倒されながらも、みゆきのおかげでだんだんと精神が鼓舞されてきました。
これもすべてジミー先生(執刀医)の思惑通りなのかと思うと、
なんだか手の中で踊らされているような気持ちになりました。
ドラクエ風に言うとミユキーマをくらった感じでしょうか。

お〜とこに〜は〜 お〜〜とこの〜〜
ふ〜〜るさと〜〜が ある〜〜という〜〜

「麻酔科医の◯◯です。今日はよろしくお願いします。」
みゆきがこだまする中での麻酔科の先生のご挨拶。
その間にもどんどんと身体に器具が着けられていきます。

お〜んなに〜は〜 お〜〜んなの〜〜
ふ〜〜るさと〜〜が ある〜〜という〜〜

「今から麻酔の点滴をしますので少しずつ意識が薄れていきますよ。」
は、はい、わかりました。
いやしかし、全身麻酔といえども、効かなかったらどうしよう。
意識がある状態でお腹に穴を開け…うわうわ考えたくない。
などと得意のネガティブシンキングが働いたその瞬間です!
「青谷さーん、終わりましたよー」

…はい?!
驚くなかれ、タイムラグゼロで手術が終了しました。
その間0.1秒ぐらい(体感)。
私は、時空を超えたのです。

そして思いました。
これが本当の、、、

ファックス(転送)!!!


と、感動したのもつかのまです。
すぐにとんでもない痛みが襲ってきました。
「麻酔効いててこれ?!」と言わんばかりの。
時計を見ると手術開始から約2時間程経過していました。

その後すぐに、横たわった状態でガラガラと病室に戻っていくのですが、
道中のコーナリングで吐きそうになり、
病室に着いたときには息も絶え絶えになっていました。
イメージ的にはF1のドリフトを体感したみたいな感じでしょうか。
もちろん、看護師さんがやんちゃな操縦をしているわけではありません。
麻酔の影響です。

酸素マスクを装着したまま、その後数時間吐き気と痛みと
寝返りができないことからくる腰痛、
肩の痛み(手術時にガスをお腹に入れるため、横隔膜が刺激されて肩が痛くなるらしいです)に苦しみました。
夜も痛みで眠れず、長い長い夜でした。

一夜明けて、ジミー先生が来訪。
「トコトコトコ…痛みどーお?」と今日も安定のポップなノリです。
腫瘍はいくつもあって、
ひとつひとつ取り除くのが難しく、再発の恐れもあるため
左卵巣摘出に至りました、と説明してくれました。

説明を聞くだけで「うッ!」となります。
なにせ昔から、ドラマでの手術シーン、警視庁24時での手術シーン、
血が流れるありとあらゆる場面が大の苦手。
チャンネル変更でそういう場面からなんとか逃れてきた私です。
ましてや自分の臓器の話。
「うッ!」とならないわけがありません。
さらには麻酔の副作用で吐き気もあり、
「うッ!」から「ごふッ!」になりかけていました。

そんな私の性分なんて知る由もなく、
ジミー先生はこうおっしゃいました。
いけない雑誌の袋とじを渡してくるような、いたずらな表情で。
「それじゃ、とっておきのグラビア写真集、プレゼントしまーす!」

差し出されたのは、、、、
マイ臓器がブルーシートに置かれた写真でした。


…。

ごふッ!!!
続く。

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