無料体験ってホントに効果あるの?
お客さまと打ち合わせする中で、こんな質問をいただくことがあります。集客において無料体験って、どのくらい有効なの?というもの。
こういった質問には、無料体験は、もろはの剣(つるぎ)ですと答えます。
無料体験について
私たちが日頃、目にするチラシやwebサイトには、無料体験というフレーズが当たり前のように踊っています。
特にスクール系やフィットネスなどの業態は、まず無料体験をしてもらって入会という流れがセオリーになっています。
また定期購読の新聞やwebメディアなどのコンテンツビジネスも、初月無料キャンペーンをおこなうことが多いですね。
ユーザー側からしても無料体験はありがたい仕組みです。継続的に月額を支払っていく教室やスクールへいきなり参加するのは、ハードルが高く感じます。そこで無料体験があれば、とりあえず行ってみて、雰囲気を感じてみることが気軽にできます。
スクールの参加者は、ほぼ全ての人が無料体験を入り口にします。スクール側からしても、まずは窓口を広くしておいて、人を多く集めることは喜ばしいことでしょう。これだけを見れば、お互いにwin-winの仕組みといえます。
無料体験で起こること
問題は、無料体験のその後です。
これは体感ですが、無料体験をしたのち、実際にそのスクールへ入会する人は、良くて5割ほどです。これは6〜7割いけば、だいぶ優秀な数値です。
ところが入会率が1〜2割くらいのところもあります。こういったところは、なかなか大変です。無料体験でやってきた20人、30人を大変な思いで接客しても、実際に入会するのは2〜3人。消耗した割に「ぜんぜん利益にならない」と嘆く担当者さまの声をよく耳にします。
またこんな例もあります。
週末にキッズ向けのサッカースクールが無料体験教室をひらきました。当日は、定員をはるかにオーバーする数の参加者ファミリーが集まりました。レッスンは大盛り上がり。お子さん達も楽しそうに参加してくれました。
しかし、実際に入会したのはほんの数名。よくよく話を聞いてみると、もう別のスイミングスクールや野球スクールに入会しているとのこと。
その日に集まった人は、入会を前提にではなく、週末のレジャーの一環として体験教室に参加していたのです。いわゆる買う気がないのに、試着ばかりする冷やかし客と同じですね。
無料体験は、諸刃の剣です。良い作用も悪い作用も起こる可能性があります。
メッセージを見直してみましょう
こういったケースは、販売におけるメッセージが間違っていることが、ほとんどです。大事なのは自分たちが、誰へ向けたサービスをしているのかです。
これは知人に聞いたエピソードです。
知人の広告代理店が、営業のスタッフを求人募集するとなった際、ハイパフォーマンスを期待するエリート層を訴求するメッセージを発信しました。当然、優秀で高スキルをもつキラキラ人材が多く募集してきたそうです。
担当者は喜び勇みながら、面接をおこない、5名の優秀な営業マンを採用しました。しかし、問題はここから。
実際にハイスキルの人材を採用しておきながら、肝心の会社自体が、そういったスキルを活かせる現場ではなく、コテコテのオールドスタイルの会社だったのです。幻滅したキラキラ営業マン達は、半年後には全員がいなくなっていました。
このように売り手のメッセージ次第で、集まるお客さんの層は大きく変わります。自分たちのサービスを適切に表現できていれば、それにともなうユーザーが集まります。そうでない場合は、なんだか違うな、と去っていくだけです。
自己表明こそ、最大の攻撃であり、防御である、というのが本日の結論です。
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