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日記 血を流してくれたのはあなただけ。

 昨日のこと。昨日は休日で、9時頃起床。夏のような快晴。夫とともに、食べたいものを食べたいだけ食べるこの上なく幸せで怠惰な一日であった。

12時 お気に入りのパン屋でパンをしこたま購入し、近くの公園のベンチで食べる(ハムとジェノベーゼのピザ、塩バターフランス、ショコラパン、夫の明太フランスひとくちもらう、カフェラテ)

14時 帰りがけに買って帰ったたこ焼きとからあげを食べ、酎ハイを飲みながらテレビで野球観戦(ヤクルト久々に勝利。苦しいときこそ、青木宣親!!)

18時 明日からの弁当用に仕込んだおかずをつまみながら(酒蒸しブロッコリー、キャベツナサラダ、たくあん)『四月物語』観る。ほんの数日前に観たばかりなのに、また観たくなったのだ。初めて観た夫は贅沢すぎるキャスティングに驚いていた。気に入ってくれたようで嬉しい。

21時 サッポロ一番塩ラーメンのホームページのアレンジレシピを参考に夫が作ってくれた釜玉ラーメン食べる。

22時 バニラアイスにメープルシロップかけて食べる。

 なんて罪深い一日だろう。夫曰く「今日はチートデイ」とのこと。寝る前、高橋順子『夫・車谷長吉』読む。長吉の言葉は、まっすぐで曇りがなくて強烈で、なんだか少しおそろしい。血を流してくれたのは、あなただけだ。こんなこと言われたら、もう一生忘れられない。心が囚われてしまうよ。その後訪れるあまりにもあっけない永遠の別れに、人生、と思う。『赤目四十八瀧心中未遂』も読み返そうとするが、4ページほどで猛烈な睡魔来たる。

長吉は「友達とは血を流すものだ」と言う。「血を流してくれたのは、あなただけだ」と、私を盟友扱いしてくれた。

 作品を見せあうことは別に約束したことではない。でもそれは私たちのいちばん大切な時間になった。原稿が汚れないように新聞紙を敷くことも、二十年来変わらなかった。相手が読んでいる間中、かしこまって側にいるのだった。緊張して、うれしく、怖いような生の時間だった。いまは至福の時間だったといえる。

高橋順子『夫・車谷長吉』


 そして今日。6時40分起床。早番勤務。夏のような快晴。朝食、ブロッコリー、キャベツナサラダ、トマト、昨日買ったメロンパン、ヨーグルト、カフェオレ。最近摂取し始めたハイチオールCのおかげか、肌の調子は上向き。朝から『赤目四十八瀧心中未遂』はあまりにもハードすぎるので、本棚で目に留まった江國香織『都の子』引っ張り出す。江國香織のエッセイ大好き。極上の文章。


 勤務中。ふと、私は本屋が好きで、私が今働いているこの場所も本屋なんだよな、という当たり前のことが突然頭に思い浮かんだ。忙しくて慌ただしくて常に時間に追われて人も多くてつらいけど、私は自分が好きな場所で働いているんだよな、と思った。思ったというより、思い出した。心なしかいつもより穏やかな気持ちで売り場に立てたような気がする。退勤後、スポナビをチェック。ヤクルトは打線爆発快勝。待ちに待った村上宗隆第1号。めでたい。

 帰宅後、夫作の夕飯食べる。ささみ大葉チーズカツ、フライドポテト、トマト、キャベツナサラダ、わかめスープ、たくあん。美味しくて、もりもり食べた。

 寝る前にも、江國香織『都の子』読む。久々に読んだらすっかり内容を忘れていて、なんだかとても新鮮な気持ち。『空港効果』を読んだら、なんだか用もなく空港に行きたくなってしまった。江國香織というひとは、なにげない物や場所から何かを感じ取って存分に味わうこと、人生をささやかに愉しむことが上手なひとなのだなあ、と思う。「楽しむ」ではなく「愉しむ」。

 空港にいるのは、どこかへ行く人かどこかから帰った人、誰かを見送る人か誰かを出迎える人、そうでなければそこで働いている人たちだ。用事もなくやってくる人は、あんまりいない。そういう、何らかの役割を持った人々ばかりがいる中に、傍観者として、何の役割もなくただ立っているのは気持ちがいい。

江國香織『都の子』


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