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日記 持っててよかった、本。

 7月2日(火)

 6時起床。早番勤務。雨量凄まじく、鬱。朝食、昨夜の残りのキャベツサラダ、米粉ロールパン、ソイラテ。
 家を出てからバスに乗り職場に着くまで、普段の倍近い時間がかかった。バスはみっちみちに混み合っていたけれど、運良く途中から座ることができた。バスのなかは人口密度が限界突破しており、誰もが能面のような表情で押し黙って耐えている。車の流れは遅々として進まない。そんなこの世の終わりのような閉鎖空間で、身体をちいさくして本を読んでいた。本を持っていてよかった。いつも鞄のなかに入っているけれど、ほんとうによかった。もし本がなかったら気が狂っていたかもしれない。こういうとき、読みかけの本を持っている人間は無敵だ。読んでいたのは、12時間行列に並び続ける人々の話だった。なんだかシンパシー。「あれ」を見るために、ただひたすら12時間並び続けようとする人間の姿。無意識の見下し、周りを出し抜いてやろうという狡賢さ、あさましさ。文字を追っているだけでゲンナリした気分に‥‥‥と思いきや、これがあまりにも面白くて、なかなか進まぬバスに対するストレスもすっかり忘れて没頭してしまった。読み終わって顔を上げたら到着していた。雨はあがっていた。こんな形で本に救われることもあるのだ。ところで、そんなにみんなが見たがる「あれ」ってなんなんだろう??

 勤務。商品の入荷なく束の間の平穏な時間。長期間売れていない商品を抜き、棚を整える。棚の乱れは心の乱れ。

 帰宅中、朝の豪雨は何処へやら、夏の空が広がっていた。久々の太陽の光!


 夕飯。豚肉のしょうが焼き、豆乳味噌汁、キムチ、雑穀米。横浜スタジアムでのヤクルト横浜戦観ながら食べる。先発吉村、横浜打線に粉砕され心のなかでさめざめと泣く。まさかのベイス☆ボール連発に一抹の希望を抱くも、追い上げ及ばず敗戦。今年のヤクルト、まだまだ優勝いけるやん!と、やっぱり最下位やなあ、を永遠に繰り返している。

 寝る前も、「あれ」について考えている。最初はパンダかな、と思った。昔の万博で展示されていたという月の石かな、とも思った。老若男女が12時間並んでも見たいものって、一体なんなのだろう。

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