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次はどうなる? どきどきを楽しむ 『そらいろのたね』

3歳の誕生日を迎え、最近、娘の絵本の世界が深まってきたのを感じます。
これまでは、ページ毎の情景や文のリズムなどを即時的というのか、瞬間的に楽しんでいたようでした。
が、ここにきて急に、物語に対する興味が強くなってきているようなのです。何度か読んでいてストーリーを知っている本は、次を予想しながら、登場人物の表情などの隅々までを味わう。展開にドキドキしながらも、何度読んでも予想通りに話が進むことに安堵するかのようです。読み終わって「ああ、よかった」などの感想を言うこともあります。

「そらいろのたね」は、そんな今の娘に最適の本であるようです。娘が私にこの本を逆読み聞かせしてくれるのを聞いていて、そのことに気づきました。字を読めないはずなのに、ページごとの内容を間違いなく、時には寸分たがわぬ文章で、読んで(話して)いるのです。「うつぶしました」などの難しい表現も、なぞっていました。

驚きの展開。シンプルで媚のない文。隅々まで楽しい絵。(たくさんの動物や友だちが登場、よく見るとぐりとぐらの姿も!)こうした要素によって、この絵本が丸ごと娘の心に焼きついたのでしょう。絵を見ながら、自信満面にお話を聞かせてくれる姿を見ながら、この絵本の強さに深く感じ入りました。
2013.11.29

 おおむらゆりこ と なかがわりえこ 『そらいろのたね』(福音館書店)

※10年後の私からのコメント
これ、本当に楽しんでいたのだ。・・・なのに、幼稚園の年長?ごろになって、この本を読みたがらなくなった。どうやらきつねが嫌なのと、最後のシーンが怖い、といった理由のようだった。幼稚園に行くようになり、友だちのやり取りから、独り占めを「いやだなあ」と感じる気持ちが生まれてきたり、いろいろな物語を知り「次を予期して怖がる」といった心の発達があったのではないかと思う。 久々に読んでみたら、今度は何て言うだろう?

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