火事。その先。

火事を伝えるニュースを見ていてよく思う。

その先の情報も伝えてはくれないだろうか。

どこで火事があった。何がどのくらい燃えてけが人や犠牲者がでた、出なかった。消火にどのくらいかかって周囲にどのくらいの影響が出た。

どれも大切な情報である。

「火災の原因は警察と消防が調査中です。」

そう、そこ。火事になった原因は結局何だったのだろう。

以前近所で火事があった。家が密集している地域だったために消防、救急、パトカーが何台も集まり大騒ぎだった。幸い住人は火事に気付きすぐに逃げられたのでけが人はいなかった。でも火はかなり燃え続け、部屋は全焼した。

地元のニュースでも火事はその日のトップを飾り、ツイッターでもかなりつぶやかれていた。でも火事の原因はニュースでもツイッターでも情報が出てこなかった。唯一次の日の地元の新聞に”火元は寝室で布団が激しく燃えていた”という小さな記事が掲載されていたが出火原因はわからなかった。

小さな子供や多数の方が犠牲になったとか事件性があった場合などはその後の情報もワイドショーで報じられたりするがほとんどのケースは火災があった事実だけが伝えられて終わりだと思う。

先述した火災の原因は偶然当事者とつながりがあったので耳に入った。布団の近くのコンセントからでた火花が布団に燃え移って起きたものだった。隣の部屋で子供と遊んでいたらしいが気づいた時には燃え広がっていて逃げるので精いっぱいだったらしい。

ホコリの舞いやすい寝室。古くなって接続が緩くなったコンセントの隙間にホコリが積もりトラッキングを起こしたのだ。しかも燃え移ったのが布団だったので焦げ臭いと思った時には火が燃え盛っていたという。

これを聞いてゾッとしてすぐに家じゅうのコンセントをくまなく見て回った。そしてさらにゾッとした。うちのコンセントも古いので緩みが多く隙間にホコリが積もっていた。さらに一つのコンセントは明らかに火花が散った形跡があった。挿し口とコードの先が焦げ、挿し口の方は熱で溶けて変形していた。

他人事ではない。運が良かっただけ。「明日は我が身」と体が震えた。

すぐに業者に依頼してコンセントの挿し口を新品に変えてもらい、すべてのホコリを取り払い、古かったり安物だったりで品質に不安があるコードは買い替えた。

うちの火花の原因は使用電力の高い電化製品の先に安いコンセントタップを付けていたためだった。たこ足配線はしていない。使用電力が高いのは知っていたので気を付けてはいて単独で挿していた。ただ家具との配置でコードの向きを変える必要があったのでそれ専用のタップを購入して使っていた。

後日、そのタップをメーカーが自主回収する旨の広告を見てこれだったのかと思った。

近所の火事の原因が何だったのかを知ることができたから気付けたのだ。

新聞などの小さい記事も日常的にチェックしている人は知りえるかもしれないが、ネットやテレビなどでしかニュースを見ていない多くの人は

「火事か。うちも気をつけなきゃな。」

くらいは思っても火元に気を付けるくらいで具体的な対策なんてしないだろう。

コードの先から突然火が出たり、乾燥機の中に入れた衣類が燃えだしたり、ペットのおしっこやペットボトルや電子レンジに入れた食べ物が原因で火事が起きるなんて思いもしないだろう。

以前聞いた出火原因で「家主が白アリを退治しようと柱に火を近づけたら家に燃え移った」というのを聞いたことがある。聞いた時は大笑いした。でも事実、それで火事が起きると想像しない人もいるのだ。

どこで火事があった。の後は「〇日に起きた火事の原因は○○でした。」まで伝えてみてはどうだろう。極端な話、当日の速報はなくてもいい。

無くてもいいは言い過ぎだが直接対策につながるような情報をこまめに伝えてくれたらいいのにと思う。

乾燥の季節になってきた。今日も火事のニュースをいくつか目にした。執筆中の今も消防車のサイレンが聞こえた。

さて、コンセントの確認でもしようか。